山口県暴力団排除条例

山口県暴力団排除条例
平成二十二年十二月二十一日
山口県条例第三十七号
山口県暴力団排除条例をここに公布する。
山口県暴力団排除条例
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策(第六条―第十一条)
第三章 暴力団に対する利益の供与の禁止(第十二条―第十七条)
第四章 青少年に対する暴力団の影響を排除するための措置(第十八条・第十九条)
第五章 説明又は資料提出、勧告及び公表(第二十条―第二十二条)
第六章 雑則(第二十三条・第二十四条)
第七章 罰則(第二十五条・第二十六条)
附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この条例は、暴力団がその威力を利用して資金を得るために県民生活及び社会経済活動に介入することが県民等に対する脅威となっていることにかんがみ、暴力団の排除について、基本理念を定め、並びに県及び県民等の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する施策の基本となる事項、暴力団に対する利益の供与の禁止に関する事項及び青少年に対する暴力団の影響を排除するための措置を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民生活の安全と平穏の確保に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 暴力団  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。

二 暴力団員  法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。

三 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。

四 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。

五 県民等 県民及び事業者をいう。

(基本理念)
第三条 暴力団の排除は、暴力団員による不当な行為が県民生活及び社会経済活動に不当な影響を与えるものであるという認識の下に、県、県民等及び市町が相互に連携して推進されなければならない。

2 暴力団の排除は、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを旨として、推進されなければならない。

(県の責務)
第四条 県は、前条に規定する暴力団の排除の推進についての基本理念にのっとり、暴力団の排除に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、暴力団の排除に関する施策の推進に当たっては、県民等、 法第三十二条の三第一項に規定する都道府県暴力追放運動推進センターとして公安委員会が指定する者その他暴力団の排除に関する活動を行う団体(以下「センター等」という。)及び市町と相互に連携を図るよう努めるものとする。
( 平二四条例六二・一部改正)

(県民等の責務)
第五条 県民は、相互に連携して、暴力団の排除に関する活動に取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、その事業活動に関し、暴力団を利することとならないよう努めるとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 県民等は、暴力団の排除に資すると認められる情報を得たときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。

第二章 暴力団の排除に関する基本的施策

(県の事務及び事業の実施に関する措置)
第六条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業により暴力団を利することとならないようにするため、暴力団員等を県が行う入札に参加させない措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

(県民等に対する支援)
第七条 県は、県民等が行う暴力団の排除に関する活動を支援するため、情報の提供、助言、指導その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市町に対する支援)
第八条 県は、市町が実施する暴力団の排除に関する施策を支援するため、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(暴力団からの離脱等の促進)
第九条 県は、県民等及びセンター等と連携して、暴力団員の暴力団からの離脱及びその社会復帰を促進するよう努めるものとする。

(警察本部長による保護等)
第十条 警察本部長は、暴力団の排除に関する活動に参加したことにより暴力団員等から危害を加えられるおそれがあると認められる者その他の関係者を保護するために必要な措置を講ずるものとする。

2 警察本部長は、県民等が暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等の不法行為に基づく損害賠償の請求その他の暴力団の排除に資すると認められる請求をしようとするときその他必要があると認めるときは、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(暴力団の排除に関する広報啓発)
第十一条 県は、暴力団の排除の重要性についての県民等の理解を深め、かつ、暴力団の排除を推進する社会的気運の醸成を図るため、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

第三章 暴力団に対する利益の供与の禁止

(利益の供与の禁止)
第十二条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

一 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下「利益の供与」という。)をすること。

二 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。

2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力することとなることを知りながら、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、相当の対償のない利益の供与をしてはならない。

3 事業者は、前二項に定めるもののほか、その行う事業に関し、その利益の供与が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることを知りながら、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、当該利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行として行う場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

(暴力団の威力の利用の禁止)
第十三条 事業者は、前条第一項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。

(利益の供与を受けることの禁止)
第十四条 暴力団員等は、事業者からの利益の供与が 第十二条の規定に違反する行為に係るものであることを知りながら、当該利益の供与を受け、又は当該事業者に当該暴力団員等が指定した者に対する当該利益の供与をさせてはならない。

(取引の関係者の確認)
第十五条 事業者は、その行う事業に係る取引が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資する疑いがあると認めるときは、当該取引の相手方又はその媒介をする者その他の関係者が暴力団員等でないことを確認するための措置を講ずるよう努めるものとする。

(不動産の所有権の移転等をしようとする者等の責務)
第十六条 県内にある不動産(以下「不動産」という。)について所有権の移転又は地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転(以下「所有権の移転等」という。)をしようとする者は、当該所有権の移転等に係る契約の締結前に、当該契約の相手方に対し当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するための措置を講ずるよう努めなければならない。

2 不動産について所有権の移転等をしようとする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知りながら、当該所有権の移転等に係る契約をしてはならない。

3 不動産について所有権の移転等をしようとする者は、当該所有権の移転等に係る契約を締結しようとするときは、次に掲げる事項をその内容に含むものを締結するよう努めなければならない。

一 当該所有権の移転等を受けた者は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならないこと。

二 当該所有権の移転等をした者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明した場合には、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができること。

4 前項第二号に規定する場合には、当該所有権の移転等をした者は、速やかに当該契約の解除又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。

(不動産の所有権の移転等の代理等をする者の責務)
第十七条 不動産について所有権の移転等の代理又は媒介をする者は、当該所有権の移転等をしようとする者に対し、前条の規定が遵守されるよう助言その他の必要な措置を講じなければならない。

2 不動産について所有権の移転等の代理又は媒介をする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知りながら、当該所有権の移転等に係る契約の締結の代理又は媒介をしてはならない。

第四章 青少年に対する暴力団の影響を排除するための措置

(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第十八条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。

一  学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。以下「学校」という。)及び 同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。以下「専修学校」という。)

二  児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設

三  図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館

四  博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第一項に規定する博物館

五 前各号に掲げるもののほか、これらに準ずるものとして公安委員会規則で定める施設

2 前項の規定は、この条例の施行後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置されたことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていた当該暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。

(青少年に対する教育等の措置)
第十九条 県は、暴力団への加入を防止し、かつ、青少年に対する暴力団の影響を排除するため、学校、専修学校その他の教育機関において青少年が暴力団の排除の重要性について認識するための教育が行われるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 青少年の育成に携わる者は、暴力団への加入を防止し、かつ、暴力団員等の活動による被害から青少年を保護するため、青少年に対し、助言、指導その他の適切な措置をとるよう努めるものとする。

第五章 説明又は資料提出、勧告及び公表

(説明又は資料提出の請求)
第二十条 公安委員会は、 第十二条第一項若しくは 第二項、 第十四条(第十二条第三項に係る部分を除く。)、 第十六条第二項又は 第十七条第二項の規定に違反する疑いのある行為があると認めるときは、当該行為の内容を明らかにするために必要な限度において、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者その他の関係者に対し、説明又は資料の提出を求めることができる。

(勧告)
第二十一条 公安委員会は、 第十二条第一項若しくは 第二項、 第十四条(第十二条第三項に係る部分を除く。)、 第十六条第二項又は 第十七条第二項の規定に違反する行為があったと認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者に対し、暴力団の排除のために必要な勧告をすることができる。

(公表)
第二十二条 公安委員会は、 第二十条の規定により説明又は資料の提出を求められた者が正当な理由なく当該説明若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の説明若しくは資料の提出をしたときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。前条の勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わなかったときも、同様とする。

2 公安委員会は、前項の規定による公表をしようとする場合には、当該公表に係る者に対し、弁明の機会を与えなければならない。

3 前項の規定による弁明の機会の付与については、 山口県行政手続条例(平成七年山口県条例第一号)第三章第三節の規定の例による。

第六章 雑則

(適用上の注意)
第二十三条 この条例の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

(公安委員会規則への委任)
第二十四条 前各条に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、公安委員会規則で定める。

第七章 罰則

第二十五条  第十八条第一項の規定に違反して暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十六条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。

(経過措置)
2 この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所(第十八条第二項ただし書に該当するものを除く。)については、同条第一項の規定は、適用しない。

附 則(平成二四年条例第六二号)
この条例は、公布の日又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十三号)の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(施行の日=平成二四年一〇月三〇日)