栃木県暴力団排除条例
平成二十二年十月十九日
栃木県条例第三十号
栃木県暴力団排除条例をここに公布する。
栃木県暴力団排除条例
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策(第六条―第十一条)
第三章 青少年の健全な育成を図るための措置(第十二条・第十三条)
第四章 暴力団員等に対する金品等の供与の禁止等(第十四条―第十九条)
第五章 義務違反者に対する措置(第二十条―第二十二条)
第六章 雑則(第二十三条)
第七章 罰則(第二十四条・第二十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、暴力団の排除に関し、基本理念を定め、並びに県及び県民等の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する県の施策の基本となる事項、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団員等に対する金品等の供与の禁止等を定めることにより、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進し、もって県民生活の安全と平穏及び地域の社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。
二 県民等 県民及び事業者をいう。
三 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。
四 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。
五 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第三条 暴力団の排除は、暴力団の活動が社会の様々な分野における活動に不当な影響を及ぼすものであることをすべての県民が深く認識し、暴力団を利用しないこと、暴力団に資金を提供しないこと及び暴力団を恐れないことを基本として推進されなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進する責務を有する。
2 県は、暴力団の排除に関する施策の推進に当たっては、国、他の都道府県及び市町村並びに法第三十二条の三第一項の都道府県暴力追放運動推進センターとして公安委員会が指定する者その他暴力団の排除のための活動を行う団体及び県民等と相互に連携を図るものとする。
(平二四条例六八・一部改正)
(県民等の責務)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、暴力団の排除のための活動に、自発的に、かつ、相互の連携を図りながら取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用し、又は暴力団に利益を与えることのないようにするとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとする。
3 県民等は、暴力団の排除に資すると認められる情報を得たときは、県に対し当該情報を提供するよう努めるものとする。
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策
(県の事務及び事業における措置)
第六条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業の実施に当たっては、暴力団の活動による不当な影響を排除するものとし、いやしくも暴力団に利益を与えることのないよう、県が実施する入札に暴力団員及び密接関係者(暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する者として公安委員会規則で定める者をいう。第十九条第一項において同じ。)を参加させないこと、暴力団員等の不当要求(自己又は他人の利益を図る目的で行う違法又は不当な要求であって県の事務又は事業に関するものをいう。同条第二項において同じ。)への対応に関する基本的事項を定めることその他の必要な措置を講ずるものとする。
(公の施設の利用の制限)
第七条 知事若しくは教育委員会又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者(次項において「知事等」という。)は、県の設置した公の施設(次項において「公の施設」という。)の利用が暴力団の活動を助長し、又はその運営に資すると認めるときは、当該利用を許可しないものとする。
2 知事等は、既に公の施設の利用を許可している場合においても、当該利用が暴力団の活動を助長し、又はその運営に資すると認めるときは、当該許可を取り消し、又は当該利用の停止を求めるものとする。
(県民等に対する支援)
第八条 県は、県民等が第五条の責務を十分に果たすことができるよう、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(市町村との連携等)
第九条 県は、市町村と連携して暴力団の排除に関する施策を効果的に実施するとともに、市町村が実施する暴力団の排除に関する施策について、情報の提供、技術的な助言その他の必要な協力を行うものとする。
(警察による保護措置)
第十条 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだことにより暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官による警戒その他の当該者の保護のために必要な措置を講ずるものとする。
(県民等に対する啓発活動)
第十一条 県は、暴力団の排除の重要性について県民等の理解を深めるため、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
第三章 青少年の健全な育成を図るための措置
(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第十二条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地(第十号に掲げる物件にあっては、当該物件の区域である土地)の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)又は同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)
二 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条第一項に規定する家庭裁判所
三 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設又は同法第十二条第一項に規定する児童相談所
四 社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二十条に規定する公民館
五 図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館
六 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第一項に規定する博物館又は同法第二十九条に規定する博物館に相当する施設
七 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第二十九条に規定する保護観察所
八 少年院法(平成二十六年法律第五十八号)第三条に規定する少年院
九 少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)第三条に規定する少年鑑別所
十 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約第十一条2に規定する一覧表に記載されている文化遺産の一部を構成する物件
十一 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定は、この条例の施行の際現に開設され、又は運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であって当該開設された後に同項各号に掲げる施設が設置されたことにより同項の規定に適合しないこととなったものについては、適用しない。ただし、これらの暴力団事務所が、当該開設し、又は運営していた暴力団以外の暴力団に係る暴力団事務所として開設され、又は運営されることとなった場合は、この限りでない。
(平二七条例二二・一部改正)
(青少年に対する教育のための措置)
第十三条 県は、学校(学校教育法第一条に規定する中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、その生徒又は学生が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員の犯罪行為による被害を受けないようにするため、必要な教育が行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 青少年の育成に携わる者は、青少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員の犯罪行為による被害を受けないようにするため、青少年に対し、指導、助言その他の適切な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において、県は、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(平二八条例一六・一部改正)
第四章 暴力団員等に対する金品等の供与の禁止等
(事業活動における禁止行為等)
第十四条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又はその指定する者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益(以下「金品等」という。)を供与すること。
二 暴力団の威力を利用したことに関し、金品等を供与すること。
2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力する目的で、暴力団員等又はその指定する者に対し、相当の対償のない金品等を供与してはならない。
3 事業者は、前二項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動を助長し、又はその運営に資することを知りながら、暴力団員等又はその指定する者に対し、金品等を供与してはならない。ただし、法令上の義務の履行として行う場合その他の正当な理由がある場合は、この限りでない。
4 事業者は、前三項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又はその指定する者に対し、不当に優先的な取扱いをしてはならない。
第十五条 暴力団員等は、前条第一項から第三項までの規定に違反することを知りながら、事業者から金品等の供与を受け、若しくは事業者に当該暴力団員等の指定する者に対し金品等の供与をさせ、又は前条第四項の規定に違反することを知りながら、事業者から不当に優先的な取扱いを受け、若しくは事業者に当該暴力団員等の指定する者に対し不当に優先的な取扱いをさせてはならない。
(不動産の譲渡等をしようとする者の責務)
第十六条 県内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることを知りながら、当該不動産の譲渡等に係る契約を締結してはならない。
2 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項をその内容に含むものとするよう努めなければならない。
一 当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならないこと。
二 前号に掲げる事項に違反する事実が判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すことができること。
(不動産譲渡代理者等の責務)
第十七条 不動産の譲渡等の代理又は媒介を行う者(次項において「不動産譲渡代理者等」という。)は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 不動産譲渡代理者等は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることを知りながら、当該不動産の譲渡等の代理又は媒介を行ってはならない。
(特定事業者の責務)
第十八条 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する旅館・ホテル営業を営む者、ゴルフ場の経営者その他の不特定又は多数の者が利用する施設を運営し、又は管理する事業者であって公安委員会規則で定めるもの(第二号において「特定事業者」という。)は、その運営し、又は管理する施設の利用に係る約款、規約その他の定めにおいて、次に掲げる事項をその内容に含むものとするよう努めなければならない。
一 当該利用が暴力団の活動を助長し、又はその運営に資するものでないこと。
二 前号に掲げる事項に違反する事実が判明したときは、当該特定事業者は、催告をすることなく当該利用に係る契約を解除することができること。
(平三〇条例三〇・一部改正)
(公共工事等事業者の責務)
第十九条 県と公共工事その他の県の事務又は事業(以下この条において「公共工事等」という。)に係る契約を締結した事業者(次項において「公共工事等事業者」という。)は、暴力団員又は密接関係者であることを知りながら、これらの者に当該公共工事等に関する業務を行わせてはならない。
2 公共工事等事業者は、当該公共工事等に関し暴力団員等から不当要求を受けたときは、速やかに、その旨を当該公共工事等を担当する機関、警察署その他の関係機関に通報するものとする。
第五章 義務違反者に対する措置
(説明等)
第二十条 公安委員会は、第十四条第一項若しくは第二項、第十五条(第十四条第一項又は第二項に係るものに限る。)、第十六条第一項又は第十七条第二項の規定に違反する疑いのある行為があったと認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者その他の関係者に対し、当該規定に違反する事実の有無を確認するために必要な限度において、説明又は資料の提出若しくは提示(第二十二条第一項において「説明等」という。)を求めることができる。
(勧告)
第二十一条 公安委員会は、第十四条第一項若しくは第二項、第十五条(第十四条第一項又は第二項に係るものに限る。)、第十六条第一項又は第十七条第二項の規定に違反する行為があったと認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
(公表)
第二十二条 公安委員会は、説明等を求められた者が次に掲げる場合に該当すると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
一 正当な理由なく説明等をしなかったとき。
二 虚偽の説明等をしたとき。
2 前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
3 公安委員会は、前二項の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該公表に係る者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第六章 雑則
(公安委員会規則への委任)
第二十三条 この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
第七章 罰則
第二十四条 第十二条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十五条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
附 則
この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。
附 則(平成二四年条例第六八号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成二七年条例第二二号)
1 この条例は、少年院法(平成二十六年法律第五十八号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成二七年六月一日)
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則(平成二八年条例第一六号)抄
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。
附 則(平成三〇年条例第三〇号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成三十年六月十五日から施行する。