千葉県暴力団排除条例

千葉県暴力団排除条例
平成二十三年三月十八日条例第四号

改正
平成二四年一〇月二三日条例第八二号
平成二七年 三月二〇日条例第三四号

平成二八年 三月二五日条例第二八号

千葉県暴力団排除条例
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策等(第八条―第十五条)
第三章 少年の健全な育成を図るための措置等(第十六条―第十八条)
第四章 暴力団事務所の開設又は運営の禁止(第十九条)
第五章 契約における措置等(第二十条)
第六章 不動産の譲渡等における措置等(第二十一条・第二十二条)
第七章 暴力団員等に対する利益供与等の禁止等(第二十三条・第二十四条)
第八章 雑則(第二十五条―第二十九条)
第九章 罰則(第三十条―第三十二条)
附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、暴力団の排除に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、暴力団の排除のための規制その他の必要な事項を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の平穏な生活及び事業活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。
二 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。
三 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。
四 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第三条 暴力団の排除は、社会全体として、暴力団が県民生活及び事業活動に不当な影響を生じさせる存在であるという認識の下に、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として推進されなければならない。
2 暴力団の排除は、県、市町村、県民、事業者その他関係機関及び関係団体の連携及び協力の下に、推進されなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条に規定する暴力団の排除についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、暴力団の排除に関する総合的な施策を推進するものとする。
2 県は、前項の施策の推進に当たっては、国、他の都道府県、市町村、千葉県暴力追放運動推進センター(法第三十二条の三第一項の規定により千葉県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が指定をした者をいう。以下同じ。)、千葉県弁護士会その他暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体との連携を図るものとする。
一部改正〔平成二四年条例八二号〕
(県民の責務)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、相互の連携及び協力を図りつつ、自主的な暴力団の排除に取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 県民は、基本理念にのっとり、暴力団員等による不当な要求があった場合には、県又は千葉県暴力追放運動推進センターに対する相談その他の当該不当な要求を排除するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県民は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業活動に関し、暴力団の排除に取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業活動に関し、暴力団員等による不当な要求があった場合には、県又は千葉県暴力追放運動推進センターに対する相談その他の当該不当な要求を排除するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 事業者は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
(適用上の注意)
第七条 この条例の適用に当たっては、県民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策等
(推進体制の整備)
第八条 県は、県、市町村、県民、事業者、千葉県暴力追放運動推進センター、千葉県弁護士会その他関係機関及び関係団体が相互に連携及び協力をして暴力団の排除を推進できる体制を整備するものとする。
(県の事務等からの暴力団の排除)
第九条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業(以下この条において「県の事務等」という。)により暴力団を利することとならないよう、暴力団員等又は暴力団若しくは暴力団員等と密接な関係を有する者(第三項において「暴力団密接関係者」という。)を県の事務等から排除するため、県が実施する入札への参加の制限その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 知事その他の執行機関又は公営企業管理者は、前項の措置を講ずる必要があると認めるときは、当該措置を講ずるために必要な事項について、千葉県警察本部長(以下「警察本部長」という。)に意見を聴くことができる。
3 県は、県の事務等に関して、その契約の相手方に対し、当該県の事務等により暴力団を利することとならないよう、下請契約その他の当該契約に関連する契約の相手方から暴力団員等又は暴力団密接関係者を排除するための必要な措置を講ずるよう求めるものとする。
(市町村への協力)
第十条 県は、市町村が実施する暴力団の排除に関する施策について、情報の提供、技術的な助言その他の必要な協力を行うものとする。
(県民等に対する支援)
第十一条 県は、県民、事業者及び関係団体(以下「県民等」という。)が基本理念にのっとり暴力団の排除に取り組むことができるよう、県民等に対し、情報の提供、指導、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(暴力団排除アドバイザー)
第十二条 警察本部長は、暴力団の排除の推進を図るため、暴力団の排除について専門的な知識及び経験を有する者に、暴力団排除アドバイザーとして、県民等が実施する暴力団の排除の取組に対する指導及び助言その他の暴力団の排除の推進に関する業務を行わせることができる。
(保護措置)
第十三条 警察本部長は、暴力団の排除に関わったことにより暴力団員等から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官による保護の実施及び保護体制の確立、資機材の貸付けその他の必要な措置を講ずるものとする。
(広報活動の充実等)
第十四条 県は、暴力団の排除についての県民等の関心及び理解を深めるため、暴力団の排除に関する広報活動の充実、学習の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(表彰)
第十五条 知事は、暴力団の排除を推進するため、基本理念にのっとり暴力団の排除の取組をしたものであって、県民等の模範となると認められるものについて、表彰することができる。
第三章 少年の健全な育成を図るための措置等
(少年の健全な育成を図るための措置)
第十六条 少年(二十歳未満の者をいう。以下同じ。)の育成に携わる者は、少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、少年に対する指導又は助言その他の適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、学校等(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(幼稚部を除く。)及び高等専門学校並びに同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。次項において同じ。)において、児童、生徒又は学生が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育が行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 県は、前項の措置を講ずるに当たっては、市町村その他の学校等を設置する者との連携を図るものとする。
4 県は、少年の育成に携わる者の求めに応じ、職員の派遣、情報の提供その他の第一項に規定する措置に関し必要な支援を行うものとする。
一部改正〔平成二八年条例二八号〕
(少年を暴力団事務所に立ち入らせることの禁止)
第十七条 暴力団員は、正当な理由がある場合を除き、自己が活動の拠点とする暴力団事務所に少年を立ち入らせてはならない。
(中止命令)
第十八条 公安委員会は、前条の規定に違反した暴力団員に対し、当該行為の中止を命ずることができる。
第四章 暴力団事務所の開設又は運営の禁止
第十九条 暴力団事務所は、次の各号に掲げる施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。
一 学校教育法第一条に規定する学校又は同法第百二十四条に規定する専修学校
二 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条第一項に規定する家庭裁判所
三 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設又は同法第十二条第一項に規定する児童相談所
四 社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二十条に規定する公民館
五 図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館
六 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第一項に規定する博物館又は同法第二十九条に規定する博物館に相当する施設
七 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第二十九条に規定する保護観察所
八 少年院法(平成二十六年法律第五十八号)第三条に規定する少年院
九 少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)第三条に規定する少年鑑別所
十 前各号に掲げるもののほか、その周辺に暴力団事務所が開設され、又は運営された場合において、特に少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる施設として千葉県公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定めるもの
2 前項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置され、又は土地をこれらの施設の用に供するものと決定されたことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、当該暴力団事務所が、当該暴力団事務所を開設し、又は運営していた暴力団以外の暴力団に係る暴力団事務所として開設され、又は運営されることとなった場合は、この限りでない。
3 前各項の規定は、第一項に規定する区域以外の区域において開設され、若しくは運営される暴力団事務所又は前項の規定により第一項の規定を適用しないこととされた暴力団事務所を開設し、又は運営する者に対する当該暴力団事務所の使用の差止めの請求、損害賠償請求その他の周辺住民の正当な権利の行使を妨げるものと解してはならない。
一部改正〔平成二七年条例三四号〕
第五章 契約における措置等
第二十条 事業者は、その行う事業活動に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認めるときは、当該契約の相手方、当該契約の媒介をする者その他の関係者が暴力団員等でないことの確認をするよう努めなければならない。
2 事業者は、その行う事業活動に係る契約を書面により締結する場合は、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明した場合には当該契約を解除することができる旨を当該契約において定めるよう努めなければならない。
3 事業者は、前項の規定により契約を解除することができる旨の定めをした場合において、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明したときは、速やかに、当該契約を解除するよう努めなければならない。
第六章 不動産の譲渡等における措置等
(不動産の譲渡等における措置)
第二十一条 県内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産が暴力団事務所の用に供されるものでないことを確認するよう努めなければならない。
2 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次の各号に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
一 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨
二 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができる旨
3 前項第二号に掲げる事項を定めた契約により不動産の譲渡等をした者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、速やかに当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
4 何人も、自己が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約をしてはならない。
(不動産の譲渡等の代理等における措置)
第二十二条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関する助言その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。
第七章 暴力団員等に対する利益供与等の禁止等
(暴力団員等に対する利益供与等の禁止)
第二十三条 事業者は、その行う事業活動に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益供与(金品その他の財産上の利益の供与をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、法令上の義務の履行としてする場合、情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
2 事業者は、その行う事業活動に関し、暴力団員等に対し、不当に優先的な取扱いをしてはならない。
3 事業者は、その行う事業活動に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次の各号に掲げる利益供与をしてはならない。
一 暴力団の威力を利用する目的で行う利益供与
二 暴力団の威力を利用したことに関する利益供与
三 前各号に掲げるもののほか、暴力団の活動又は運営に協力する目的で行う相当の対償のない利益供与
(暴力団員等が利益供与を受けることの禁止)
第二十四条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が前条第一項の規定に違反することとなる利益供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益供与をさせてはならない。
2 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が前条第三項の規定に違反することとなる利益供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益供与をさせてはならない。
第八章 雑則
(説明又は資料の提出)
第二十五条 公安委員会は、第十七条、第二十一条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第三項又は前条第二項の規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第二十六条 公安委員会は、第二十一条第四項、第二十二条第二項、第二十三条第三項又は第二十四条第二項の規定に違反する行為があった場合において、当該行為が暴力団の排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
(公表)
第二十七条 公安委員会は、次の各号に掲げる者が当該各号に定める場合に該当すると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、これらの者の氏名又は名称、当該各号に該当する旨その他公安委員会規則で定める事項を公表することができる。
一 第二十五条の規定により説明又は資料の提出を求められた者 正当な理由がなく説明若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の説明若しくは資料の提出をした場合
二 前条の規定による勧告を受けた者 正当な理由がなく当該勧告に従わなかった場合
(意見を述べる機会の付与)
第二十八条 公安委員会は、前条の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、当該公表をしようとする者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第二十九条 この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
第九章 罰則
第三十条 第十九条第一項の規定に違反して暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十一条 第十八条の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十二条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき当該法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
この条例は、平成二十三年九月一日から施行する。

附 則(平成二十四年十月二十三日条例第八十二号)
この条例は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十三号)の施行の日から施行する。
附 則(平成二十七年三月二十日条例第三十四号)
この条例は、少年院法(平成二十六年法律第五十八号)の施行の日から施行する。
附 則(平成二十八年三月二十五日条例第二十八号)
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。