私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通称 リベンジポルノ防止法 リベンジポルノ対策法)

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通称 リベンジポルノ防止法 リベンジポルノ対策法)

(平成二十六年法律第百二十六号)

平成二十六年法律第百二十六号
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、私事性的画像記録に係る情報の流通によって名誉又は私生活の平穏の侵害があった場合における特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の特例及び当該提供等による被害者に対する支援体制の整備等について定めることにより、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2 この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。
(私事性的画像記録提供等)
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の特例)
第四条 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下この条において同じ。)は、特定電気通信(同条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下この条において同じ。)による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者(同条第四号に規定する発信者をいう。以下この条において同じ。)に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれにも該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 特定電気通信による情報であって私事性的画像記録に係るものの流通によって自己の名誉又は私生活の平穏(以下この号において「名誉等」という。)を侵害されたとする者(撮影対象者(当該撮影対象者が死亡している場合にあっては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)に限る。)から、当該名誉等を侵害したとする情報(以下この号及び次号において「私事性的画像侵害情報」という。)、名誉等が侵害された旨、名誉等が侵害されたとする理由及び当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨(次号において「私事性的画像侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し私事性的画像侵害情報の送信を防止する措置(以下「私事性的画像侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があったとき。
二 当該特定電気通信役務提供者が、当該私事性的画像侵害情報の発信者に対し当該私事性的画像侵害情報等を示して当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会したとき。
三 当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(支援体制の整備等)
第五条 国及び地方公共団体は、私事性的画像記録の提供等による被害者の適切かつ迅速な保護及びその負担の軽減に資するよう、被害者が当該提供等に係る犯罪事実の届出を行いやすくするために必要な捜査機関における体制の充実、私事性的画像侵害情報送信防止措置の申出を行う場合の申出先、申出方法等についての周知を図るための広報活動等の充実、被害者に関する各般の問題について一元的にその相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。
(被害の発生を未然に防止するための教育及び啓発)
第六条 国及び地方公共団体は、私事性的画像記録等が拡散した場合においてはその被害の回復を図ることが著しく困難となることに鑑み、学校をはじめ、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、自己に係る私事性的画像記録等に係る姿態の撮影をさせないこと、自ら記録した自己に係る私事性的画像記録等を他人に提供しないこと、これらの撮影、提供等の要求をしないこと等私事性的画像記録の提供等による被害の発生を未然に防止するために必要な事項に関する国民の十分な理解と関心を深めるために必要な教育活動及び啓発活動の充実を図るものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は公布の日から起算して二十日を経過した日から、第四条の規定は公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
(被害回復及び処罰の確保に資する国際協力の在り方等に関する検討)
第二条 政府は、インターネットを利用した私事性的画像記録の提供等に係る被害回復及び処罰の確保に資するため、この法律の施行後二年以内に、外国のサーバーを経由するなどした私事性的画像記録の提供に関する行為者の把握及び証拠の保全等を迅速に行うための国際協力の在り方について検討するとともに、関係事業者における通信履歴等の保存の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(検討)
第三条 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称 リベンジポルノ防止法 リベンジポルノ対策法)が施行されました

リベンジポルノ被害が年々増加の傾向にあります。性的な画像等をその撮影対象者の同意なく、インターネットの掲示板等に公表する行為により、被害者が大きな精神的苦痛を受ける被害が発生しています。
この法律は、このような実情に鑑み、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止することを目的として施行されました。

 
◆「私事性的画像記録」「私事性的画像記録物」とは?
私事性的画像記録(しじせいてきがぞうきろく)とは、以下の①~③の電子情報(いわゆる電子データ)のことになります。
① 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
 (例)異性間・同性間の性交行為、手淫・口淫行為など
② 他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 (例)性器、肛門又は乳首を触る行為など
③ 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されるものであり、かつ性欲を興奮させ又は刺激するもの
 (例)全裸又は半裸の状態で扇情的なポーズをとらせているものなど
私事性的画像記録物(しじせいてきがぞうきろくぶつ)とは、上記①~③を撮影した画像を記録した有体物(写真、CDロム、USBメモリなど)のこと。
いずれも、本人が第三者に見られることを認識した上で撮影を許可した画像(アダルトビデオ、グラビア写真など)は除かれます。

◆罰則
 公表罪

第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私事性的画像記録(物)を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者
 ⇒ 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
公表目的提供罪
公表させる目的で、私事性的画像記録(物)を提供した者
 ⇒ 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

◆画像の削除
インターネットで公表されてしまった画像等は、プロバイダー等を通じて削除要請をすることができます。

拡散防止のためには、早急に公表された画像等を削除することが重要ですので、出来る限り早くプロバイダー等を通じて削除要請をしてください。

ここからリベンジポルノ事件のポイントとして実務上のことを書きます。

警察に、被害届を出しても、警察が削除要請はしてくれません。
むしろ、リベンジポルノで、警察が刑事事件として受理するなら、暫く、リベンジポルノされた写真や動画を放置してくれと言われることが多いです。
これは、警察が捜査して証拠をつかむための、警察ならではの対応になります。
リベンジポルノの被害者が、実際に犯人を罰して欲しいと思うなら、リベンジポルノされた写真や動画は捜査の間、暫く放置とは、とても被害者救済にはなっていないです。
リベンジポルノされた被害者としては、一秒でも早く、ネット上に流出した写真や動画を削除したいと思うはずです。
捜査する間、リベンジポルノされた写真や動画を晒されたまま放置とは、とても被害者のための法律とはなってません。
あと一つ、リベンジポルノ事件の立件のために、警察から、リベンジポルノされた写真や動画が貴女だと証言してくれる知人に証言させてくださいと言われます。
警察曰く、立件するために、必要だそうです。
リベンジポルノの被害者としては、誰にも知られたくない、見られたくないのに、証言者を一人要求するなど無神経としかいいようがありません。

①リベンジポルノの被害者が犯人を罰して欲しいと思っても、リベンジポルノされた写真や動画を暫く放置しなくても良い
②リベンジポルノ事件の立件のために、証人を用意しなくても良い

以上、2点の早急な法律改正を、今後、期待したいと思います。