大分県暴力団排除条例

大分県暴力団排除条例
平成二十二年九月二十七日
大分県条例第三十三号
大分県暴力団排除条例をここに公布する。
大分県暴力団排除条例
目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 暴力団の排除に関する基本的施策等(第七条―第十二条)
第三章 青少年の健全な育成を図るための措置(第十三条・第十四条)
第四章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等(第十五条―第十八条)
第五章 暴力団員等が利益の供与を受けることの禁止等(第十九条・第二十条)
第六章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等(第二十一条―第二十三条)
第七章 義務違反者に対する措置等(第二十四条―第二十六条)
第八章 雑則(第二十七条)
第九章 罰則(第二十八条・第二十九条)
附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この条例は、暴力及びこれを背景とした資金獲得活動により暴力団が県民生活及び事業活動に対する大きな脅威となっている現状にかんがみ、大分県からの暴力団の排除(以下「暴力団の排除」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県及び県民等の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団員等に対する利益の供与の禁止等を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活を確保し、及び社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 暴力団  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。

二 暴力団員  法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。

三 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。

四 県民等 県民及び事業者をいう。

五 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。

(基本理念)
第三条 暴力団の排除は、県民等が、暴力団が県民生活及び事業活動に不当な影響を及ぼす反社会的団体であることを認識した上で、暴力団の利用、暴力団への協力及び暴力団との交際をしないことを基本として、県及び市町村並びに県民等が相互の連携及び協力の下に一体となって推進されなければならない。

(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、暴力団の排除に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、暴力団の排除に関する施策の実施に当たっては、市町村及び県民等並びに 法第三十二条の三第一項の規定により公安委員会から大分県暴力追放運動推進センターとして指定を受けた者(以下「暴追センター」という。)その他の暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体等と連携を図るよう努めるものとする。
(平二四条例七八・一部改正)

(県民等の責務)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業(事業の準備を含む。以下同じ。)により暴力団を利することとならないようにするとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとする。

3 県民等は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。

(条例の解釈適用)
第六条 この条例は、暴力団の排除を図るためにのみ適用するものであって、いやしくもこれを拡張して解釈し、県民等の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならない。

第二章 暴力団の排除に関する基本的施策等

(県の事務及び事業における措置)
第七条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業により暴力団を利することとならないよう、次に掲げる措置を講ずるものとする。

一 県が実施する入札に暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者(以下「暴力団関係者」という。)を参加させないための措置

二 県と契約を締結した者に暴力団関係者と下請契約を締結させないための措置

三 前二号に掲げるもののほか、暴力団を利することとならないようにするために必要な措置

(警察による保護措置)
第八条 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだこと等により暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官に警戒をさせるなど、当該者の保護のために必要な措置を講ずるものとする。

(県民等に対する支援)
第九条 県は、県民等が暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り組むことができるよう、県民等に対し、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員による犯罪の被害に係る損害賠償の請求等に係る訴訟の援助、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(広報及び啓発)
第十条 県は、県民等が暴力団の排除の重要性について理解を深めることができるよう、暴力団の排除の気運を醸成するための集会を開催するなど、広報及び啓発を行うものとする。この場合においては、暴追センター等と連携を図るよう努めるものとする。

(暴力団排除推進の日)
第十一条 県は、県民等の暴力団の排除の重要性についての理解を深めるため、暴力団排除推進の日を設ける。

(市町村への協力)
第十二条 県は、市町村において暴力団の排除のための施策が講じられるよう、市町村に対し、情報の提供、技術的助言その他の必要な協力を行うものとする。

第三章 青少年の健全な育成を図るための措置

(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第十三条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。

一  学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)及び 同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)

二  図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館

三  児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設

四  社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二十条に規定する公民館

五  博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第一項に規定する博物館及び 同法第二十九条に規定する博物館に相当する施設

六 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの

2 前項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置されたことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこれらの暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。

(青少年に対する教育等のための措置)
第十四条 県は、学校( 学校教育法第一条に規定する中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は 同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、その生徒又は学生が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育が必要に応じて行われるよう適切な措置を講ずるものとする。

2 青少年の育成に携わる者は、当該青少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、当該青少年に対し、指導し、助言し、その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 県は、前項の青少年の育成に携わる者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(平二八条例二三・一部改正)

第四章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等

(利益の供与の禁止)
第十五条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

一 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下単に「利益の供与」という。)をすること。

二 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。

2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力する目的で、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、相当の対償のない利益の供与をしてはならない。

3 事業者は、前二項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、施設を利用させ、物品を販売するなど、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

(祭礼等に係る利益の供与の禁止)
第十六条 祭礼、興行その他の公共の場所に多数人が特定の目的のために一時的に集合するような行事(以下「祭礼等」という。)を主催する者(事業者を除く。以下同じ。)は、当該祭礼等に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、露店を出させるなど、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

(暴力団の威力を利用することの禁止)
第十七条 事業者は、 第十五条第一項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。

(取引の関係者の確認等)
第十八条 事業者は、その行う事業に係る取引が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものである疑いがあると認めるときは、当該取引の相手方、当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員でないことを確認するよう努めるものとする。

2 祭礼等を主催する者は、露店を出させるなどの行為が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものである疑いがあると認めるときは、露店の出店等をする者その他の関係者が暴力団員でないことを確認するよう努めるものとする。

第五章 暴力団員等が利益の供与を受けることの禁止等

(利益の供与を受けることの禁止等)
第十九条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が 第十五条第一項若しくは 第二項の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者がこれらの規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。

2 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が 第十五条第三項の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が 同項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。

(祭礼等に係る利益の供与を受けることの禁止等)
第二十条 暴力団員等は、情を知って、祭礼等を主催する者から当該祭礼等を主催する者が 第十六条の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は祭礼等を主催する者に当該祭礼等を主催する者が 同条の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。

第六章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等

(不動産の譲渡等をしようとする者の責務)
第二十一条 県内に所在する不動産(以下単に「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。

2 何人も、自己が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約をしてはならない。

3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる旨のすべてを定めるよう努めなければならない。

一 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨

二 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができる旨

4 前項第二号に規定する場合においては、当該譲渡等をした者は、速やかに当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。

(不動産の譲渡等の代理等をする者の責務)
第二十二条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。

2 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。

(建築工事の請負をしようとする者の責務)
第二十三条 県内における建築工事(改修工事を含む。以下単に「建築工事」という。)の請負をしようとする者は、当該請負に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該建築工事の結果完成することとなる物件(以下単に「物件」という。)を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。ただし、当該建築工事が軽微な補修工事である場合は、この限りでない。

2 何人も、自己が請負をしようとしている建築工事に係る物件が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該請負に係る契約をしてはならない。

3 建築工事の請負をしようとする者は、当該請負に係る契約において、次に掲げる旨のすべてを定めるよう努めなければならない。

一 当該契約の相手方は、当該請負に係る物件を暴力団事務所の用に供してはならない旨

二 当該物件が暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、当該請負をした者は、催告をすることなく当該契約を解除することができる旨

4 前項第二号に規定する場合においては、当該請負をした者は、速やかに当該契約を解除するよう努めなければならない。

第七章 義務違反者に対する措置等

(調査)
第二十四条 公安委員会は、 第十五条第一項若しくは 第二項、 第十九条第一項、 第二十一条第二項、 第二十二条第二項又は前条第二項の規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。

(勧告)
第二十五条 公安委員会は、 第十五条第一項若しくは 第二項、 第十九条第一項、 第二十一条第二項、 第二十二条第二項又は 第二十三条第二項の規定に違反する行為があった場合において、当該行為が暴力団の排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。

(事実の公表)
第二十六条 公安委員会は、 第二十四条の規定により説明若しくは資料の提出を求められた者が正当な理由がなく、当該説明若しくは資料の提出を拒み、若しくは虚偽の説明若しくは資料の提出をしたとき又は前条の規定により勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。

2 公安委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該公表の対象となる者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

第八章 雑則

(委任)
第二十七条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。

第九章 罰則

第二十八条  第十三条の規定に違反して暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

附 則
この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。

附 則(平成二四年条例第七八号)
この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成二八年条例第二三号)抄
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。