長野県暴力団排除条例
平成23年3月17日条例第21号
改正
平成24年12月13日条例第83号
平成27年3月19日条例第27号
平成28年3月22日条例第25号
長野県暴力団排除条例をここに公布します。
長野県暴力団排除条例
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策(第6条―第11条)
第3章 青少年の健全な育成に係る措置(第12条・第13条)
第4章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等(第14条―第16条)
第5章 暴力団員との契約の禁止等(第17条―第20条)
第6章 祭礼等からの暴力団の排除(第21条)
第7章 義務違反者に対する措置等(第22条―第24条)
第8章 補則(第25条)
第9章 罰則(第26条・第27条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、暴力団の排除について、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する施策の基本となる事項及び青少年の健全な育成に係る措置その他の必要な措置等を定めることにより、社会全体で暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活の確保及び社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。次号及び次条第2項において「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
(2) 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
(3) 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第3条 暴力団の排除は、暴力団が県民の生活及び事業者の事業活動に不当な影響を与える存在であることを認識した上で、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本とし、社会全体として推進されなければならない。
2 暴力団の排除は、県、市町村、県民、事業者及び法第32条の3第1項の規定により長野県公安委員会(以下「公安委員会」という。)から長野県暴力追放運動推進センターとして指定を受けた者その他の暴力団員による不当な行為の防止等を目的とする団体(以下「関係団体」という。)が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。
一部改正〔平成24年条例83号〕
(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、市町村、県民、事業者及び関係団体との連携を図りつつ、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。
2 県は、前項に規定する施策の推進に当たり、青少年が暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにすることが重要であることに鑑み、青少年の健全な育成を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(県民及び事業者の責務)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、自主的に、かつ、相互の連携協力を図りつつ、暴力団の排除のための活動に取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業に関して暴力団と一切の関係を持つことがないよう努めるとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力しなければならない。
3 県民及び事業者は、暴力団の排除に資すると認められる情報を得たときは、県に当該情報を提供するよう努めなければならない。
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策
(県の事務及び事業における措置)
第6条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業(以下この条において「県の事務事業」という。)により暴力団を利することとならないよう、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有するものとして長野県公安委員会規則で定める者(以下この条において「暴力団関係者」という。)を県が実施する入札に参加させないことその他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、県の事務事業の契約の相手方に対し、暴力団員又は暴力団関係者を当該契約に係る下請その他の契約の相手方としないよう必要な措置を講ずることを求めるものとする。
3 県は、県の事務事業の契約の相手方に対し、当該契約に係る業務の遂行に当たり暴力団員又は暴力団関係者から不当な要求を受けたときは、遅滞なく県に報告をすることその他必要な措置を講ずることを求めるものとする。
(公の施設の利用制限)
第7条 知事若しくは長野県教育委員会又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(次項において「知事等」という。)は、県が設置した公の施設(同法第244条第1項に規定する公の施設をいう。次項において「公の施設」という。)の利用の許可の申請があった場合において、当該利用が暴力団の活動を助長し、又はその運営に資すると認めるときは、当該利用の許可をしないことができる。
2 知事等は、公の施設の利用の許可をした後において、当該利用が暴力団の活動を助長し、又はその運営に資すると認めたときは、当該利用を停止させ、又は当該利用の許可を取り消すことができる。
(県民等に対する支援等)
第8条 県は、県民、事業者及び関係団体が、自主的に、かつ、相互の連携協力を図りつつ、暴力団の排除のための活動に取り組むことができるよう、県民、事業者及び関係団体に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
2 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだこと等により暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、その者の保護のため、警察官による警戒その他の必要な措置を講ずるものとする。
(暴力団からの離脱を促進するための措置)
第9条 県は、関係団体と連携して、県民及び事業者の協力の下、暴力団から離脱する意志を有する者の暴力団からの離脱を促進し、その社会復帰を援助するため、就労の支援その他の必要な措置を講ずるものとする。
(広報及び啓発)
第10条 県は、県民及び事業者が暴力団の排除の重要性について理解を深め、暴力団の排除の気運が醸成されるよう、広報及び啓発を行うものとする。
(市町村に対する協力)
第11条 県は、市町村が実施する暴力団の排除に関する施策に関し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な協力を行うものとする。
第3章 青少年の健全な育成に係る措置
(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第12条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。
(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)又は同法第124条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)
(2) 裁判所法(昭和22年法律第59号)第2条第1項に規定する家庭裁判所
(3) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設又は同法第12条第1項に規定する児童相談所
(4) 社会教育法(昭和24年法律第207号)第20条に規定する公民館
(5) 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館
(6) 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館又は同法第29条に規定する博物館に相当する施設
(7) 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条に規定する都市公園
(8) 更生保護法(平成19年法律第88号)第29条に規定する保護観察所
(9) 少年院法(平成26年法律第58号)第3条に規定する少年院
(10) 少年鑑別所法(平成26年法律第59号)第3条に規定する少年鑑別所
(11) 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として長野県公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定にかかわらず、暴力団事務所が開設された後に同項各号のいずれかの施設が設置されたことによって同項に規定する区域内において運営されることとなった暴力団事務所については、同項の規定は、適用しない。ただし、当該暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営される場合は、この限りでない。
一部改正〔平成27年条例27号〕
(青少年に対する教育等に係る支援)
第13条 県は、学校(学校教育法第1条に規定する中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は同法第124条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。)又は青少年の育成に携わる者が青少年に対し指導、助言等を行う場において、暴力団が県民の生活及び事業者の事業活動に不当な影響を与える存在であることを認識するための教育等が必要に応じて行われるよう職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
一部改正〔平成28年条例25号〕
第4章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等
(利益の供与等の禁止)
第14条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。以下この条及び第16条において同じ。)又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 暴力団の威力を利用する目的で、又は暴力団の威力を利用したことに関し、金品その他の財産上の利益の供与(以下この条及び第16条において「利益の供与」という。)をすること。
(2) 前号に定めるもののほか、暴力団の活動又は運営に協力する目的で、相当の対償のない利益の供与をすること。
2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
3 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、不当に優先的な取扱いをしてはならない。
(暴力団の威力を利用することの禁止)
第15条 事業者は、前条第1項第1号に該当するもののほか、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。
(暴力団員等が利益の供与を受けること等の禁止)
第16条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第14条第1項若しくは第2項の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者がこれらの項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
第5章 暴力団員との契約の禁止等
(契約時等における措置)
第17条 事業者は、その行う事業に関して書面による契約を締結する場合において、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものである疑いがあると認めるときは、当該契約の相手方が暴力団員でないことを確認するよう努めなければならない。
2 事業者は、その行う事業に関して書面による契約を締結する場合において、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものであることが判明したときは、催告をすることなく当該契約を解除することができる旨を定めるよう努めなければならない。
3 事業者は、前項に規定する旨を定めた契約を締結した場合において、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものであることが判明したときは、速やかに当該契約を解除するよう努めなければならない。
(不動産の譲渡等をしようとする者が講ずべき措置)
第18条 県内に所在する不動産(以下この条及び次条において「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(賃借権、使用貸借権、地上権その他の不動産の使用を目的とする権利の設定又は移転を含む。以下この条及び次条において「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
2 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約を締結してはならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
(1) 当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨
(2) 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すことができる旨
4 不動産の譲渡等をした者は、前項第2号に掲げる事項を定めた契約を締結した場合において、当該契約に係る不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、速やかに当該譲渡等に係る契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すよう努めなければならない。
(不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者が講ずべき措置)
第19条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の必要な措置を講じなければならない。
2 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等の代理又は媒介をしてはならない。
(特定事業者が講ずべき措置)
第20条 事業者のうち、ホテル、旅館、ゴルフ場その他の不特定又は多数の者が利用する施設のうち長野県公安委員会規則で定めるものの運営又は管理を行う者(以下この条において「特定事業者」という。)は、当該施設の利用に関し、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる契約を締結しないよう努めなければならない。
2 特定事業者は、前項の当該施設の利用に係る約款、規約その他の定め(次項において「約款等」という。)において、次に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
(1) 暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる施設の利用をしてはならない旨
(2) 施設の利用が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明したときは、特定事業者は、催告をすることなく当該施設の利用に係る契約を解除することができる旨
3 特定事業者は、施設の利用に係る約款等に前項第2号に掲げる事項を定めた場合において、当該施設の利用が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明したときは、速やかに当該施設の利用に係る契約を解除するよう努めなければならない。
第6章 祭礼等からの暴力団の排除
(祭礼等からの暴力団の排除)
第21条 祭礼、花火大会、興行その他の公共の場所に多数の者が特定の目的のために一時的に集合するような行事の主催者及びその運営に携わる者は、当該行事の運営に暴力団員を関与させないことその他当該行事から暴力団を排除するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第7章 義務違反者に対する措置等
(説明又は資料の提出要求)
第22条 公安委員会は、第14条第1項、第16条(第14条第1項に係る部分に限る。次条において同じ。)、第18条第2項又は第19条第2項の規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第23条 公安委員会は、第14条第1項、第16条、第18条第2項又は第19条第2項の規定に違反する行為が暴力団の排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
(公表)
第24条 公安委員会は、第22条の規定により説明若しくは資料の提出を求められた者が正当な理由がなく当該説明若しくは資料の提出を拒んだとき又は前条の規定により勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。この場合においては、これらの者に対し、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
第8章 補則
(補則)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、長野県公安委員会規則で定める。
第9章 罰則
(罰則)
第26条 第12条第1項の規定に違反して、暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第27条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年9月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所については、第12条第1項の規定は、適用しない。ただし、当該暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営される場合は、この限りでない。
附 則(平成24年12月13日条例第83号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成27年3月19日条例第27号)
この条例は、少年院法(平成26年法律第58号)の施行の日から施行する。
附 則(平成28年3月22日条例第25号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。