高知県暴力団排除条例

高知県暴力団排除条例をここに公布する。
○高知県暴力団排除条例
(平成22年10月22日条例第36号)
改正
平成24年10月16日条例第61号
平成26年10月21日条例第76号
平成28年3月25日条例第20号
  高知県暴力団排除条例
目次
第1章 総則(第1条-第5条)
第2章 暴力団を許さない社会づくりの推進(第6条-第15条)
第3章 青少年の健全な育成を図るための措置(第16条・第17条)
第4章 事業者による利益の供与の禁止等(第18条-第20条)
第5章 暴力団員等が利益の供与を受けること等の禁止(第21条)
第6章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等(第22条・第23条)
第7章 祭礼等における暴力団の排除(第24条)
第8章 義務違反者に対する措置(第25条)
第9章 雑則(第26条)
第10章 罰則(第27条・第28条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、暴力団が県民の生活及び社会経済活動に介入し、暴力及びこれを背景とした資金獲得活動によって県民及び地域社会に多大な脅威を与えている状況にかんがみ、高知県からの暴力団の排除(以下「暴力団の排除」という。)について、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的な施策、青少年の健全な育成を図るための措置、事業者による利益の供与の禁止等必要な事項を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で安心な生活を確保し、及び社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。

(2) 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。

(3) 暴力団員等 暴力団員又は暴力団準構成員(暴力団員以外の者で、暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等(法第2条第1号に規定する暴力的不法行為等をいう。)を行うおそれがあるもの又は暴力団若しくは暴力団員に対し、資金、武器等の供給を行う等暴力団の維持若しくは運営に協力するものをいう。)をいう。

一部改正〔平成24年条例61号〕
(4) 事業者 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)又は事業を営む個人をいう。

(5) 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。

一部改正〔平成24年条例61号〕
(基本理念)
第3条 暴力団の排除は、県民及び事業者(以下「県民等」という。)が、暴力団が県民の生活及び社会経済活動に悪影響を与える存在であることを認識した上で、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として、県、市町村及び県民等が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。

(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(次条において「基本理念」という。)に基づき、法第32条の3第1項の規定に基づき都道府県暴力追放運動推進センターとして高知県公安委員会(第25条において「公安委員会」という。)の指定を受けた者(以下「暴追センター」という。)及び高知弁護士会民事介入暴力対策委員会(民事介入暴力事案の被害者救済及びその事前防止を目的として高知弁護士会に設置されたものをいう。)その他暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体(第9条第2項において「民事介入暴力対策委員会等」という。)との連携を図りながら、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。

[ 前条] [ 次条] [ 第25条] [ 第9条第2項]
一部改正〔平成24年条例61号〕
(県民等の責務)
第5条 県民は、基本理念に基づき、暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り組むよう努めるとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、基本理念に基づき、その行う事業(事業の準備行為を含む。第4章において同じ。)に関し、暴力団との社会的に非難されるべき関係を絶つよう努めるとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めなければならない。

3 県民等は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めなければならない。

第2章 暴力団を許さない社会づくりの推進
(県の事務及び事業における暴力団の排除)
第6条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業(次条において「県の事業等」という。)により暴力団を利することとならないよう、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者を県が実施する入札に参加させない等の必要な措置を講ずるものとする。

[ 次条]
(不当要求行為に係る措置)
第7条 県は、県の事業等に関し、県の事業等に係る契約の相手方に対し、当該契約の相手方(下請契約その他の当該県の事業等の遂行のために締結する契約の相手方を含む。)が当該契約に係る事務又は事業の遂行に当たって暴力団員等による不当要求行為を受けたときは、県に報告を行うことを義務付ける等の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、県の事業等に係る契約の相手方が前項に規定する措置をとらなかったときは、当該相手方との契約を取り消し、又は県が実施する入札に参加させないことができる。
[ 前項]
(県立施設の暴力団の利用制限)
第8条 県又は指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)は、県が設置した公の施設が暴力団の活動に利用されると認めるときは、当該施設の利用の許可をせず、又は利用の許可を取り消すことができる。

(県民等に対する支援)
第9条 県は、県民等が暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り組むことができるよう、県民等に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

2 県は、事業者が暴力団からの不当要求行為の対象とならないことを目的として事業者により結成された団体に対し、暴追センター及び民事介入暴力対策委員会等と連携して、暴力団の排除のために必要な支援を行うものとする。

(警察による保護措置)
第10条 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだこと等により暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官による警戒その他の当該者の保護のために必要な措置を講ずるものとする。

(訴訟に対する援助)
第11条 県は、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等による犯罪の被害に係る損害賠償の請求その他の暴力団員等に対する請求に係る訴訟であって、暴力団の排除に資すると認められるものを提起し、又は提起しようとする者に対し、当該訴訟に関し、情報の提供その他の必要な援助を行うものとする。

(社会復帰支援の推進)
第12条 県は、事業者、暴追センター等と連携を図り、暴力団員の暴力団からの離脱を促進し、その社会復帰を援助するため、就労支援その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国及び他の都道府県との連携)
第13条 県は、暴力団の排除のための活動の推進に当たっては、国及び他の都道府県との連携を図るものとする。

(市町村への支援)
第14条 県は、市町村において暴力団の排除のための施策が講じられるよう、市町村に対し、情報の提供、技術的助言その他の必要な支援を行うものとする。

(広報及び啓発)
第15条 県は、県民等が暴力団の排除の重要性について理解を深めることができるよう、県内における暴力団の活動実態等についての県民等への周知、暴力団の排除の気運を醸成するための集会の開催その他の広報活動及び啓発活動を行うものとする。

第3章 青少年の健全な育成を図るための措置
(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第16条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。

(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)又は同法第124条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)

(2) 裁判所法(昭和22年法律第59号)第3編第3章に規定する家庭裁判所

(3) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設

(4) 少年鑑別所法(平成26年法律第59号)第3条に規定する少年鑑別所

一部改正〔平成26年条例76号〕
(5) 社会教育法(昭和24年法律第207号)第21条第1項の規定により市町村が設置する公民館

(6) 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館

(7) 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館又は同法第29条に規定する博物館に相当する施設

(8) 更生保護法(平成19年法律第88号)第29条の保護観察所

(9) 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年(18歳未満の者をいう。次条第2項において同じ。)の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
[ 第1号] [ 第2号] [ 第3号] [ 第4号] [ 第5号] [ 第6号] [ 第7号] [ 前号] [ 次条第2項]
一部改正〔平成26年条例76号〕
2 前項の規定は、暴力団事務所であって、その開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置されたことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、当該施設の設置の際現に運営されていた暴力団事務所が当該施設の設置後に他の暴力団のものとして開設され、又は運営される場合は、この限りでない。
[ 前項] [ 同項第1号] [ 同項第2号] [ 同項第3号] [ 同項第4号] [ 同項第5号] [ 同項第6号] [ 同項第7号] [ 同項第8号] [ 同項第9号] [ 同項]
一部改正〔平成26年条例76号〕
(青少年に対する教育等のための措置等)
第17条 県は、学校(学校教育法第45条の中学校、同法第49条の2の義務教育学校(後期課程に限る。)、同法第50条の高等学校、同法第63条の中等教育学校、同法第72条の特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)、同法第115条の高等専門学校及び同法第124条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、その生徒又は学生が暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育が必要に応じて行われるよう適切な措置を講ずるものとする。

一部改正〔平成28年条例20号〕
2 青少年の育成に携わる者は、暴力団の排除の重要性を認識し、当該青少年が暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、当該青少年に対し、指導、助言その他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 警察本部長は、前項に規定する者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
[ 前項]
一部改正〔平成28年条例20号〕
第4章 事業者による利益の供与の禁止等
(暴力団を利用することの禁止)
第18条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団を利用してはならない。

(利益の供与等の禁止)
第19条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下「利益の供与」という。)をすること。

(2) 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。

(3) 暴力団の活動又は運営に協力する目的で、相当の対償のない利益の供与をすること。

2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行として利益の供与をする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
[ 前項]
3 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等に対し、不当に優先的な取扱いをしてはならない。

(取引の関係者の確認)
第20条 事業者は、その行う事業に係る取引が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるものである疑いがあると認めるときは、当該取引に係る情報を県に提供するよう努めるとともに、当該取引の相手方、当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員等でないことを確認するよう努めなければならない。

第5章 暴力団員等が利益の供与を受けること等の禁止
(利益の供与を受けること等の禁止)
第21条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第19条第1項の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
[ 第19条第1項] [ 同項]

2 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第19条第2項の規定に違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
[ 第19条第2項] [ 同項]
第6章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等
(不動産の譲渡等をしようとする者等の責務)
第22条 県内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約を締結する前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことの確認等をし、暴力団事務所の開設の防止に努めなければならない。

2 何人も、自己が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約を締結してはならない。

3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約を締結するときは、次に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。

(1) 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならないこと。

(2) 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができること。

4 前項第2号に掲げる事項を定めた契約により不動産の譲渡等をした者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、速やかに当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
[ 前項第2号]
(不動産の譲渡等の代理等をする者等の責務)
第23条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
[ 前条]

2 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の締結の代理又は媒介をしてはならない。

第7章 祭礼等における暴力団の排除
(行事主催者等の責務)
第24条 祭礼、花火大会、興行その他の公共の場所に多数の者が特定の目的のために一時的に集合する行事の主催者又はその運営に携わる者(次項において「行事主催者等」という。)は、当該行事に関し、露店を設けようとする者が暴力団員等でないことの確認等をし、暴力団の排除に努めなければならない。
[ 次項]

2 行事主催者等は、当該行事に関し、露店を設けようとする者が暴力団員等であることを知って、これに露店を設けさせてはならない。

第8章 義務違反者に対する措置
(調査、勧告等)
第25条 公安委員会は、第19条第1項、第21条第1項、第22条第2項、第23条第2項又は前条第2項の規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。
[ 第19条第1項] [ 第21条第1項] [ 第22条第2項] [ 第23条第2項] [ 前条第2項]

2 公安委員会は、第19条第1項、第21条第1項、第22条第2項、第23条第2項又は前条第2項の規定に違反する行為があった場合は、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
[ 第19条第1項] [ 第21条第1項] [ 第22条第2項] [ 第23条第2項] [ 前条第2項]
3 公安委員会は、第1項の規定に基づき説明若しくは資料の提出を求められた者が正当な理由がなく当該説明若しくは資料の提出を拒み、又は前項の規定に基づき勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該事実その他の必要な事項を公表することができる。
[ 第1項] [ 前項]
4 公安委員会は、前項の規定に基づく公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、当該公表の対象となる者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
[ 前項]
第9章 雑則
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。

第10章 罰則
(罰則)
第27条 第16条の規定に違反して、暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

[ 第16条]
(両罰規定)
第28条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

[ 前条] [ 同条]
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(経過措置)
2 第16条第1項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所については、適用しない。ただし、この条例の施行の日において運営されていた暴力団事務所が同日以後に他の暴力団のものとして開設され、又は運営される場合は、この限りでない。

附 則(平成24年10月16日条例第61号)
この条例は、規則で定める日(平成24年規則第80号で、平成24年10月30日とする。)から施行する。

附 則(平成26年10月21日条例第76号)
この条例は、規則で定める日(平成27年規則第43号で、平成27年6月1日とする。)から施行する。

附 則(平成28年3月25日条例第20号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。