群馬県暴力団排除条例

群馬県暴力団排除条例
平成二十二年十月二十八日条例第五十一号
群馬県暴力団排除条例をここに公布する。
群馬県暴力団排除条例
目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 暴力団排除に関する基本的施策等(第七条―第十三条)
第三章 青少年の健全な育成を図るための措置(第十四条・第十五条)
第四章 暴力団の威力を利用することの禁止等(第十六条―第十八条)
第五章 暴力団員等との契約の禁止(第十九条―第二十一条)
第六章 義務違反者に対する措置等(第二十二条―第二十四条)
第七章 雑則(第二十五条)
第八章 罰則(第二十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、暴力団員による不当な行為を防止し、及びこれにより県民生活又は県内の事業活動に生じる不当な影響を排除するため、暴力団排除に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団の威力を利用することの禁止等について定めることにより、暴力団排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活の確保に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。
二 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。
三 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者をいう。
四 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第三条 暴力団排除は、社会全体として、暴力団が県民生活及び県内の事業活動に不当な影響を及ぼしていることを認識した上で、暴力団を恐れないこと、暴力団に資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として推進されなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、暴力団排除に関する施策を総合的に推進する責務を有する。
2 県は、暴力団排除に関する施策を推進するに当たっては、国、他の都道府県、市町村、県民、事業者、県暴力追放運動推進センター(法第三十二条の三第一項の規定により公安委員会から群馬県暴力追放運動推進センターとして指定を受けた者をいう。以下同じ。)、群馬弁護士会等と緊密に連携するものとする。
一部改正〔平成二四年条例七五号〕
(県民の責務)
第五条 県民は、暴力団員等による不当な要求行為(以下「不当要求行為」という。)があった場合には、基本理念にのっとり、県、県暴力追放運動推進センター等に相談するなどして、その排除に努めるものとする。
2 県民は、暴力団排除に関する活動に自主的に、かつ、相互に連携及び協力を図って取り組むとともに、県が推進する暴力団排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 県民は、暴力団排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、その行う事業に関し不当要求行為があった場合には、基本理念にのっとり、県、県暴力追放運動推進センター等に相談するなどして、その排除に努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に関し、暴力団との一切の関係を遮断するよう努めるとともに、県が推進する暴力団排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 事業者は、暴力団排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
第二章 暴力団排除に関する基本的施策等
(県の事務及び事業における措置)
第七条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業(以下「県の事務事業」という。)により暴力団を利することとならないよう、暴力団員等を県が実施する入札に参加させないなど、必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、県の事務事業に関する契約の相手方に対し、下請その他の当該契約に関連する契約の相手方(以下「下請契約等の相手方」という。)から暴力団員等を排除するために必要な措置を講ずるよう義務付けるものとする。
3 県は、県の事務事業に関する契約の相手方に対し、当該契約に係る業務の遂行に当たって不当要求行為を受けたとき又は下請契約等の相手方が当該下請契約等に係る業務の遂行に当たって不当要求行為を受けたことを知ったときは、県に報告するとともに、警察に通報するなど、必要な協力を行うよう義務付けるものとする。
4 県は、県の事務事業に関する契約の相手方が、前項の規定に基づき当該契約において定められた義務に違反したときは、当該契約の相手方について、県が実施する入札に参加させないなど、必要な措置を講ずるものとする。
(公の施設における措置)
第八条 県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、同法第二百四十四条第一項に規定する公の施設(以下「公の施設」という。)の利用が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利用と認めるときは、当該公の施設の利用の承認又は許可を与えてはならない。
2 県は、公の施設の利用を承認し、又は許可した後に、当該公の施設の利用が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利用と認めたときは、当該公の施設の利用を停止し、又は利用の承認若しくは許可を取り消すことができる。
(県への不当要求行為に対する措置)
第九条 県は、県民等及び職員の安全と公務の適正かつ円滑な執行を確保するため、県への不当要求行為に対する統一的な対応方針を定め、不当要求行為を防止するために必要な措置を講ずるものとする。
(警察による保護措置)
第十条 警察本部長は、暴力団排除に関する活動に取り組んだこと等により暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官による警戒その他の保護のために必要な措置を講ずるものとする。
(県民等に対する支援)
第十一条 県は、県民等が暴力団排除のための活動に自主的に、かつ、相互に連携及び協力を図って取り組むことができるよう、県民等に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(訴訟の援助)
第十二条 県は、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等による犯罪の被害に係る損害賠償の請求その他の暴力団員等に対する請求に係る訴訟であって、暴力団排除に資すると認められるものを提起し、又は提起しようとする者に対し、訴訟の遂行に必要な情報の提供その他の必要な援助を行うことができる。
(広報及び啓発)
第十三条 県は、県民等が暴力団排除の重要性について理解を深めることができるよう、暴力団の活動実態等について県民等に周知するほか、暴力団排除の気運を醸成するための集会を開催するなど、広報及び啓発を行うものとする。
第三章 青少年の健全な育成を図るための措置
(青少年に対する教育等のための措置)
第十四条 県は、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、その生徒又は学生が暴力団排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないための教育が必要に応じて行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 青少年の育成に携わる者は、青少年に対し、当該青少年が暴力団排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないための指導、助言その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、前項に規定する者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
一部改正〔平成二七年条例八五号〕
(暴力団事務所の開設等の禁止)
第十五条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲二百メートルの区域内においては、これを開設し、又は運営してはならない。
一 学校教育法第一条に規定する学校(大学を除く。)又は同法第百二十四条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)
二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設又は同法第十二条第一項に規定する児童相談所
三 図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する図書館
四 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第一項に規定する博物館
五 社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二十条に規定する公民館
六 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条第一項に規定する家庭裁判所
七 少年院法(平成二十六年法律第五十八号)第三条に規定する少年院
八 少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)第三条に規定する少年鑑別所
九 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第二十九条に規定する保護観察所
十 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所、及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であって、その開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置されたことにより、同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこれらの暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。
一部改正〔平成二七年条例五一号〕
第四章 暴力団の威力を利用することの禁止等
(暴力団の威力を利用することの禁止)
第十六条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。
(金品等の供与の禁止)
第十七条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる金品その他の財産上の利益(以下「金品等」という。)の供与をし、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
(金品等の供与を受けること等の禁止)
第十八条 暴力団員等は、事業者から当該事業者が前条の規定に違反することとなる金品等の供与(以下この条において「金品等の供与」という。)を受け、若しくは事業者に当該暴力団員等が指定した者に対する金品等の供与をさせ、又は事業者に対して金品等の供与を要求し、若しくは金品等の供与を受ける約束をしてはならない。
第五章 暴力団員等との契約の禁止
(契約時における措置)
第十九条 事業者は、その行う事業に関し契約を締結する場合には、その契約の内容として、暴力団員等を契約の相手方としない旨の定めを設けるよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に関し、その取引の相手方、当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員等でないことを確認するよう努めるものとする。
3 事業者は、その行う事業に関し書面で契約を締結する場合には、当該契約の相手方が暴力団員等でないことを確認するため、当該契約の相手方に対して、契約の書面において暴力団員等でない旨を約させるなど、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(施設利用契約の禁止)
第二十条 事業者のうち、旅館、ホテル、ゴルフ場その他の多数の者が利用する施設の運営又は管理を行う者であって、公安委員会規則で定めるもの(以下この条において「特定事業者」という。)は、情を知って暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる当該施設の利用の契約を締結してはならない。
2 特定事業者は、前項の施設の利用に係る約款、規約その他の定めにおいて、次に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
一 当該契約の相手方は、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる施設の利用をしてはならない旨
二 当該契約の相手方が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる施設の利用をすることが判明した場合は、当該契約を解除することができる旨
3 前項第二号に規定する場合は、当該特定事業者は、速やかに当該契約を解除するよう努めなければならない。
(暴力団事務所の用に供される不動産譲渡等契約の禁止等)
第二十一条 何人も、県内に所在する不動産(以下「不動産」という。)が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該不動産の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)に係る契約又はその代理若しくは媒介をしてはならない。
2 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前項の規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
一 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨
二 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明した場合は、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すことができる旨
4 前項第二号に規定する場合は、当該譲渡等をした者は、速やかに当該契約を解除し、又は当該不動産を買い戻すよう努めなければならない。
第六章 義務違反者に対する措置等
(調査)
第二十二条 公安委員会は、第十七条、第十八条、第二十条第一項又は前条第一項の規定に違反する行為(以下「違反行為」という。)をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第二十三条 公安委員会は、違反行為があった場合において、当該違反行為が暴力団排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該違反行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
(事実の公表)
第二十四条 公安委員会は、第二十二条の規定により説明若しくは資料の提出を求められた者が正当な理由がなく当該説明若しくは資料の提出を拒んだとき、又は前条の規定により勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
2 公安委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該公表に係る者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第七章 雑則
(委任)
第二十五条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
第八章 罰則
第二十六条 第十五条の規定に違反して暴力団事務所を開設し、又は運営した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
附 則
この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。
附 則(平成二十四年十月二十六日条例第七十五号)
この条例は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十三号)の施行の日又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
附 則(平成二十七年三月二十日条例第五十一号)
この条例は、少年院法(平成二十六年法律第五十八号)の施行の日又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
附 則(平成二十七年十二月二十二日条例第八十五号)
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。