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報道されたインターネットトラブル事件

  ネットトラブルの防止へ県警が講義 桐蔭学園
2015.04.15 朝刊 

 【神奈川県】県警は横浜市青葉区の桐蔭学園で、高校一年生約千百人に、インターネット上でのトラブルを防ぐための講義を行った。

 高校生の九割がスマートフォンを利用している中、桐蔭学園からの依頼で開かれた。少年らの犯罪被害などの相談を受ける「少年相談・保護センター」の和田史(たかし)警部補(41)が「人の悪口やうわさ話などを書くと、大人も子どもも名誉毀損(きそん)などの罪に問われることもある」と具体的な事件を挙げて注意を呼びかけた。アップした自分の写真や個人情報が他人に悪用されるトラブルもあり、「一度考えてからアップして」と話した。

 同センターの黒川知昭相談員(25)は、実際に相談のあった事例を挙げた。ネット上の書き込みやメッセージのやりとりの誤解から事件に発展することもあるため、「困っている人を見かけたり、悪質な情報を見つけたりしたら大人に相談して」と語りかけた。

 ネット被害 具体策で防ぐ/トラブル例■フィルタリング設定/県教育庁が手引発行
2015.04.15 朝刊

 県教育庁は3月、改訂版「ネット被害防止ガイドライン 子どもたちがネットトラブルに巻き込まれないために」を発行した。各学校に配布し、児童・生徒への指導や地域ボランティアの研修などに使う。

 ネット社会が急速に進んでいることを受け、沖縄総合通信事務所や県子ども生活福祉部、県警本部などと連携して編集した。

 書き込みやメールでの誹謗(ひぼう)中傷や個人情報の流出、誘い出しによる性的被害など、子どもたちが遭遇しがちなトラブル事例を紹介。フィルタリングの設定や授業での啓発など、子ども、保護者、教師それぞれが注意すべき点を挙げている。

 スマートフォン(スマホ)を買い与える際の保護者向けチェックシートも掲載。「購入目的が明確である」「保護者自身がスマホを操作できる。設定方法などに一般知識がある」などの項目があり、「どうしてスマホを持ちたいのか子どもに確認し、利用範囲を話し合いましょう」「購入前に携帯会社のフィルタリングに関するウェブサイトを確認したり、情報モラル研修に参加したりして情報収集しましょう」などとアドバイスしている。

 犯罪行為などの書き込みを見つけた場合に、どう削除依頼をするかなどのチャート図も盛り込んだ。

 教育庁が2013年に実施した調査によると、県内の高校生の約96%が携帯電話やスマホを持っている。内訳ではスマホが約78%と圧倒的に多く、携帯電話・PHSの約18%、パソコン・タブレット約6%と続く。

 一方で、スマホ所有者のうち、電話回線と無線LANの両方でフィルタリングを使っているのは約26%にとどまり、「どちらも利用していない」は約39%だった。

 携帯電話を所持し始めた時期は小学校が約16%、中学校が約43%、高校が約35%。同冊子は「小学校から発達段階に応じた対策が必要」と指摘している。

 スマホデビュー、親の心得 トラブル急増、小学生も
2015.04.12 東京朝刊 

 新学期。子どもの入学や進学を機に、スマホを買い与えるかどうか悩む親は少なくない。スマホを使ったオンラインゲームをめぐるトラブルも増えている。心配は尽きないが、学校の学習でもネットを使う時代。親子で、上手に使うためのコツは――。


 9歳の娘が、親のスマホでゲームをして、勝手に高額なアイテムを買っていた――。今年2月、甲信越地方の40代の母親から、消費者センターにこんな相談があった。業者から、アイテムの代金として5万円を請求されたという。

 国民生活センターによると、スマホを利用したデジタルコンテンツに関する相談件数は、2009年度は2件のみ。ところが14年度になると、今年2月末現在で6万件を超えるなど、急増している。

 未成年の被害も増えている。オンラインゲームに関するトラブルは、12年11月の532件から13年11月の1341件に増え、未成年者の割合は、4割に倍増。うち、9歳以下が12%から18%になった。

 「保護者が新しい機種に変更して、使わなくなった中古のスマホを与えて、制限をしない状況で使わせている例も多い」と担当者は言う。

 今年1月、有害なサイトから子どもを守るフィルタリング会社のデジタルアーツが調査したところ、小学3年以下の子どもがネットに接続できる自分専用の端末を持っていたのは約55%。携帯ゲーム機、子ども用携帯電話に次いで、「契約の切れた中古のスマホ」が多かったという。

 契約が切れたスマホでも、家の中に無線LANがあれば、ネットにつながる。親が使っていた中古スマホは、アダルトや残虐なサイトなどをブロックするフィルタリングがかかっていない場合が多く、子どもが有害サイトに遭遇してしまう可能性が高い。

 このため、無線LANも制限するためには、子どもに中古スマホを渡す前に、フィルタリングアプリをインストールし、閲覧できるサイトなどを制限しておくことが必要だという。


 ■発信相手、まず家族から

 ネット上の有害な情報は、フィルタリングである程度防げる。だが、個人情報や悪口を書き込んでしまうなど不適切な発信は、技術で防ぐことができない。

 川崎市で中学1年生が殺害された事件では、被害生徒と年上の容疑者との交流には、「LINE」が使われていた。デジタルアーツの調査でも、小学4年生から高校生のスマホ所有者のうち約62%が、「LINE」を使っているという。

 こうした現状に対して、インターネット事業者らでつくる「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(座長・坂元章お茶の水女子大教授)は、ネット上のコミュニケーションを少しずつ拡大する「段階的利用」を提言する。親子で話し合って、子どもに考えさせる方法だ。

 まずネットの特性として(1)公開されている(2)匿名性はない(3)書き込みは取り消せない(4)自分の将来が台無しになることがある――ということを理解させる。その上で、オンラインのコミュニケーションは意思疎通が難しいこと、必要以上に自分を開示してしまうこと、未知の人の言うことを過剰に信じやすい傾向があることを伝える。

 こうした特性を理解していく発達段階に合わせ、コミュニケーションの相手を家族、顔見知り、見知らぬ相手へと少しずつ拡大。親でも子どもの力を見極めるのは難しいが、最終的に18歳での習熟を目指す。

 子どもネット研事務局の高橋大洋さんは、「リスクがあるからといって禁止すると、ネットのリスクを知って使いこなす能力が育たない」と話す。中高生向けの講演で講師を務める経験から、「長時間の利用については、子ども自身も困っている」と言い切る。「既に与えてしまった家庭も、春の買い替えなどをチャンスに、スマホを寝室には持ち込まないなど、親子で利用のルールを決めてはいかがでしょうか」(杉原里美)


 ■スマホを与える前にチェック!

 【与える目的が明確である】 なぜスマホを持ちたいのか、子どもに聞く。目的を確認して利用範囲を話し合おう

 【保護者自身が操作でき、設定方法の知識がある】 セキュリティー設定が、自分のプライバシーを守ってくれることを伝え、設定方法を教えよう

 【保護者自身が正しい扱いを態度で示せる】 食事中や就寝前はスマホを使わないなど、利用のマナーを態度で示そう

 【情報モラルとフィルタリングの基礎知識がある】 購入前に、携帯会社のフィルタリングに関するサイトを確認するなどして情報収集を

 【家庭内で利用ルールを、子どもと相談しながら決められる】 利用ルールは押しつけではなく、子どもに考えさせ、一緒に話し合って決めよう

 【家庭内でルールを定期的に話し合い見直せる】 サイト閲覧やアプリの制限について、子どもと相談して利用範囲の変更を検討していこう

 (総務省「インターネットトラブル事例集」〈2014年度版〉から)

 自治体情報/ネットトラブルから子どもを守れ/回避プログラム(指導教材)/大阪府
2015.04.09 公明新聞 

 大阪府は、架空請求や性犯罪などのネットトラブルに子どもたちが巻き込まれるのを防ぐため、「ネットトラブル回避プログラム(指導教材)」を3月にまとめた。その取り組みを紹介する。

 『産学官3者で作成は全国初』

 『冊子化し、全小中高校などに配布』

 ネットトラブル回避プログラムは、教員が学校の授業で使う指導教材で、子どもがスマホやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でトラブルに巻き込まれないようにするのが目的。文部科学省の委託事業(2014年度)「大阪の子どもを守るネット対策事業」の一環として大阪府がつくった。

 同プログラムは、府内の小中高校生約1万5000人へのスマホに関するアンケート、中高生代表による会合(「OSAKA スマホサミット 2014」)での討論の内容も踏まえつくられた。

 プログラムの作成は、竹内和雄兵庫県立大学准教授(大阪の子どもを守るネット対策事業実行委員会座長)、NHKとネット関連会社、府の3者があたった。府青少年課によると、大学と企業と行政の3者が連携してネットトラブルを回避するためのプログラムをまとめたのは全国で初めてという。

 府は、ネットトラブル回避プログラムを冊子(DVD付)化し、3000部を作成、府内の全小中高校と支援学校などに配布した。

 冊子は、問題提起の仕方、子どもたちによる話し合いの流れ、まとめ方の例を掲載するとともに、子どもが書き込むプリントも付いており、一方的に教員が情報を伝えるだけでなく、子どもに考えてもらうことをめざしている。

 DVDは、(1)課金トラブルや架空請求など小学生が陥りやすいネット上のトラブル事例の映像(NHKの資料)(2)無料通信アプリを通じて起こる性犯罪やネットいじめ、スマホ依存などのトラブルを疑似体験できるスライド(ネット関連会社の資料)を収録している。

 府青少年課の柚木さおり総括主査は「ネット上には悪意ある大人がいるかもしれないということを分からない子もいる」と子どもたちのネットリテラシー(正しく利用する能力)を高める同プログラムの重要性を指摘。「DVD収録のスライドの資料が授業ですぐに使えて便利などと教員に好評」と冊子の反響を語っていた。

 府は今年度、委託事業で培ったノウハウを各学校へ提供することで、「中高生が小学生にスマホの正しい使い方を教えるセミナー」などを開催していきたいとしている。
 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 番外編 キーマンに聞く(下) 安心ネットづくり促進協議会副会長 曽我邦彦氏 スマホをいかに賢く使わせるか 家庭内でルールを話し合うべき
2015.04.09 社会-15版 28頁 山陽新聞朝刊 

 ―子どものスマートフォン・携帯電話へのフィルタリング設定を義務付けた青少年インターネット環境整備法が成立した翌年の2009年、安心ネットづくり促進協議会は発足した。

 協議会の最大の目的は安心・安全なネット利用環境の整備だ。子どもたちが情報を読み解く力、いわゆる情報リテラシーの向上、民間の自主的取り組みの支援などを活動の柱としている。携帯会社や通信・ネット関連企業、日本PTA全国協議会、学識経験者など現在、全国の190団体・個人が会員だ。討議や活動には国や自治体、教育関係者にも加わってもらい“オールジャパン”態勢で目標の実現を目指している。

 ―子どものネットトラブルが全国で相次ぐ中、協議会の役割は重要性を増している。

 ネット利用に関連するさまざまな調査研究を手掛けてきた。子どもは、情報社会を健全に発展させていくための「情報モラル」が養われるほど、ネット上で他人を攻撃する行動が抑制される傾向があることが判明した。スマホ・携帯の長時間使用を防ぐには、良好な人間関係や精神的健康を保持する取り組みが重要だとも分かってきた。研修会やワークショップを通じ、14年度だけでも全国の子どもとその保護者ら約2万6千人に分析結果を伝え、情報モラル向上を訴えた。

 ―協議会の発足は、子どものネットトラブルが表面化した時期と重なる。

 出会い系サイトなどを介した性被害が頻発し、ネット掲示板やブログで同級生の悪口を書き込むネットいじめが深刻化していた。ネット関連企業は個別に対策を講じていたが、取り組みには濃淡があり、地域間格差も見受けられた。民間企業・団体の集合体でもある協議会として、関係機関を有機的に連携させ、量的、質的に発展させていくことが私たちの使命だ。

 ―設立からの6年間で見えてきた課題は。

 ネットをめぐる環境の変化は年々速くなっている。社会の意識も「子どもから携帯やスマホを遠ざける」から「いかに賢く使わせるか」に変わった。この1年は子どもたち自身によるルールづくりの重要性が叫ばれるようになった。1年単位、数カ月単位で課題への対処法を考えなければならない時代になったと言え、取り組みにはスピード感が求められている。

 ―国は20年までの目標として「世界最先端IT国家」の実現を掲げている。

 ITの進展は国の発展に欠かせず、ネットは今後、より身近な存在になるに違いない。次世代の主役である子どもたちには、正しい活用能力を身に付けてもらう必要がある。IT関連企業には青少年保護の概念を盛り込んだ新しいサービスや機器の開発を呼び掛けたい。スマホ・携帯の適切な利用を子ども自身が考える「サミット」が岡山で開かれるなど、各地でネットの問題の解決に向けた動きが活発化している。協議会としては、適正利用を広めていく上で核となる地域の人材の発掘にも取り組む。

 ―ネット利用の低年齢化の波への対応策、家庭の果たすべき役割は。

 未就学児とその親を含めた啓発に力を入れる。保護者は安心・安全な利用のための基本をしっかり学び、家庭内でスマホ・携帯の利用ルール、コミュニケーションの在り方を子どもたちと話し合うべきだ。子どもを守るのは親の責務。ネット社会をどう生き抜くか、子どもと向き合い、教えていくという親の役割を再認識してほしい。
 [NIE・新聞はじんぶんに]/ネットで注意 三つのルール/金城唯=小6
2015.03.22 朝刊

 先日、ネットモラル講習会があり、沖縄セルラーの方が来校して、私たちにインターネットの便利さと危険について話をしてくださいました。

 講習の中で、若者になりすまして、出会い系のサイトにアクセスしている事例や、ネット上で友達の悪口を言った事例などを知り、こわくなりました。

 便利なネットがトラブルに発展する様子が理解できました。そして、私自身は安全に楽しく使っていきたいと思いました。

 そのことを家で話して、家族でルールを決めました。一つ目は、使用時間を1日1時間として、遅くても夜8時までには終わることです。二つ目は、学校の宿題や翌日の準備をしてから使うということ。そして三つ目は有害サイトには絶対にアクセスしないということです。

 この三つのルールをしっかり守り、ネットトラブルに巻きこまれないようにします。

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第3部 学校現場の模索 (5) アンテナ高く 保健室で異変察知 養護教諭の役割増
2015.03.22 社会-15版 26頁 山陽新聞朝刊 

 顔は青白く、目が赤い。岡山県内の公立中学校。2校時目の授業中に保健室を訪ねてきた2年生の女子は、頭痛と体のだるさを訴えた。つい先日のことだ。

 熱はなく、せき、のどの痛みといった症状もない。養護教諭の佐伯陽子さん(51)=仮名=はすぐに寝不足を疑った。

 「もしかしてスマホ?」。問い掛けると、あっさり認めた。

 女子はその前日、学校から帰宅すると、愛用のスマートフォンで他校の男子と無料通信アプリ・LINE(ライン)のやりとりを始めた。気付けば午前2時。急いで布団に潜ったが、朝8時に目が覚めた。朝食を取る間もなく、1校時目に遅刻したのだという。

 「『返信が遅い』って言われる。正直しんどい」。それが一番言いたかったのか、女子は1時間ほど休むと教室に戻った。表情には少し明るさが戻っていた。

  □ □ □ □ □

 深刻な体調不良ではない。何かをしてもらいたいわけでもなく、話をただ聞いてほしい。そんな目的で保健室を訪ねてくる子どもたちは以前から少なくない。

 佐伯さんは養護教諭となって間もなく30年。「保健室は『心の救済』への入り口」。そう思って生徒の声に耳を傾けてきた。この2、3年、よく聞くようになったのはインターネットやスマホに関する話題だ。

 頭が痛いとやって来た女子からは、LINEグループの会話から外されていると打ち明けられた。週末に大阪の“彼氏”と岡山駅で会うと教えてくれた生徒もいた。ベッドで休む間、布団を頭からかぶり、こっそりゲームに興じる生徒が現れたのも最近のことだ。

 「一日中生徒たちに向き合い、その日が終わることもある」と佐伯さん。全校生徒300人余り。何げない会話から生徒の心身の状態を把握するのが、校内でただ一人の養護教諭である自分の仕事と自覚している。

  □ □ □ □ □

 生徒の異変をどう察知するか。カウンセリング技術を磨くため、さまざまなケースを想定して役割を演じるロールプレーイングの研修にも参加した。

 ただ、教師らの見えない所に潜むトラブルを見つけ出すのは難しい。昨年末にはこんなこともあった。

 「先生、○○子の悪口がLINEに書かれていたよ」。保健室を訪れた数人の生徒から聞かされた。その子は保健室を利用したことがなかった。出欠表を確認すると、数日前から休んでいた。3学期の今も登校できていない。もっと早く対応できていればと悔やまれた。

 ネット時代の対応の難しさを、元小学校長で20年以上にわたり養護教諭を務めた岡山大大学院教育学研究科の宮本香代子教授(60)はこう指摘する。

 「子どもたちのやりとりが目に見えない。だから状況が深刻化しても大人は気付きにくい」

 1990年代、全国の小中高校でいじめが多発。国は養護教諭の新たな職務としてカウンセリング能力の向上を求める答申を出した。今はネットが子どもたちに深く浸透し、さらに役割は増していると言う。

 「何げないしぐさから日常と違う様子に気付くことができれば、早期に担任や保護者らと連携した支援ができる。各者を結び付けるコーディネーターとしての役割にも期待したい」と宮本教授。

 養護教諭の気付きを学校全体の取り組みに広げたい。そのために「もっと『アンテナ』を高くしたい」と佐伯さんは思っている。
 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第3部 学校現場の模索 (3) 無力感 「見えない敵」に苦しむベテラン
2015.03.19 社会-15版 32頁 山陽新聞朝刊 

 暴力を振るったり、逆にいじめの対象になりやすかったりする児童を日頃から注視する。大抵のトラブルはこれで未然に防げるか、深刻化する前に解決できる、と思ってきた。

 岡山県内の小学校の教壇に立ち、間もなく30年。伊藤正樹教諭=40代、仮名=は、このうち半分ほどの年数を「生徒指導主事」としてやってきた。児童の問題行動に校内で中心的に携わる役目だ。

 だがこのところ、従来の経験だけではうまくいかないケースが増えてきた。インターネット絡みのトラブルだ。

 2013年夏のこと。ある母親の訴えに出くわした。娘が無料通信アプリ・LINE(ライン)のグループのメンバーから外され、落ち込んでいるという。5年生の優花=仮名=だった。

 学校は、優花が誰とグループをつくっているかも知らなかった。担任が、普段から仲良しの女子たちに事情を聴いたところ、優花は別のLINEグループの「友だち」にメンバーの1人の連絡先を無断で教え、お仕置きに「LINE外し」されたことが分かった。

 優花も仲良したちも、学校生活に問題はなかった。「トラブルのサインは全く見えませんでした」。伊藤教諭は振り返る。

 インターネット上のトラブルの“主役”は中高生だと、高をくくっていた自分にも気付かされたという。

  □ □ □ □ □

 いたずらっ子や勉強が苦手な子でも長所を見つけ、伸ばしてやる―。伊藤教諭は小学生の時のそんな恩師の姿に憧れ、教職に就いた。2000年ごろ「荒れた学校」に赴任し、生徒指導主事に初めて抜てきされた。

 喫煙や万引をする児童には徹底的に向き合ってきた自負がある。教員に反抗的だった子を休日にボウリングへ誘い、心を通わせたこともある。問題を一つ一つ解決するたび、指導には手応えを感じていた。

 いまはトラブルの芽がより潜在化している。メールでの言い争いやオンラインゲーム上でのチャット(会話)による誹謗(ひぼう)中傷合戦などが、優花のトラブル以降も次々と判明した。

 いさかいを起こした子どもたちに話を聴くと、ネットの世界に行き着くことが少なくない。「『見えない敵』のようなものに、無力感さえ覚えることがあります」

 教職員のカウンセリングを行う「沢田の杖(つえ)塾」(岡山市)の主宰者で元高校教諭、森口章さん(70)はこう指摘する。

 「子どものネットトラブルは現場の教職員にとって新たな脅威。ベテラン教師ほど苦しんでいる」

  □ □ □ □ □

 物心ついたころからネット環境に囲まれた現代の小学生。一方、年配の教師はネットに疎く、伊藤教諭もLINEの機能や仕組みは、なかなか理解できない。

 トラブルに遭った優花には当時、個人情報の取り扱いの重要さを、仲良しの女子たちには友情の大切さを説くよう、担任にアドバイスした。でも、内容が十分だったか自信はない。

 伊藤教諭は、近いうちにネットいじめに関する長期講習会に参加したいと考えている。

 「問題を未然に防ぐという生徒指導の理念は不変。だからこそ、ネットの実情を踏まえたきめ細かい指導方法が求められている。ネットの世界にいる子どもたちと、しっかり向き合えるようにならなければ」

ズーム

 生徒指導主事 いじめ、不登校といった問題の解決に中心的に携わる教諭。学校教育法施行規則に定められ、2011年に国立教育政策研究所(東京)がまとめた手引書は、必置ではない小学校でも問題の実態把握などに当たる重要な役割と位置付けている。近年はインターネットが絡むことで児童、生徒のトラブルが潜在化。指導主事の業務が複雑化しているとされる。

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第3部 学校現場の模索 (2) 生徒指導 想定外の行動次々 粘り強く寄り添う
2015.03.18 社会-15版 28頁 山陽新聞朝刊 

 1年に3足は靴を履きつぶす。校内で逃げる生徒を追っかけたり、取っ組み合いをしたり。生徒指導担当の高野哲平教諭=40代、仮名=はいつも早足だ。とにかく忙しい。

 生徒指導の「困難校」として教員が増員配置されている岡山県内のある公立中学校。高野教諭が生徒指導を任されて3年目になる。授業は1日1こま程度。あとは校内の見守りなどで生徒の問題行動に終日対応する。

 放課後も同僚からの相談が後を絶たず、気がつけば午後9時を回ることも珍しくない。

 スマートフォン・携帯電話の登場で、生徒指導は大きく変わったと言う。他校の生徒とも簡単にネットでつながり、思いも寄らない場所でトラブルが起きる。

 「生徒たちで手に負えなくなり、問題解決へ教員が指導するのが各学期に数回はある。介入しないのも含むと相当数だろう」

 厚さ10センチほどの「生徒指導記録」ファイルを繰り、そう振り返った。

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 昨年夏には、ある女子が近隣中学校で「○○出てこい」と大声を出し、校長が引き取りに出向く騒動があった。その学校に自分の交際相手と仲良くする女の子がいると知り、カチンときたらしい。

 どうやって知り得たのか、その子の無料通信アプリ・LINE(ライン)の連絡先を割り出し、<うちの男に手を出すなや>と威嚇するメッセージを送った。LINE上で口論した揚げ句、押し掛けたのだという。

 修学旅行先で別々の班の女子2人が所在不明になったこともあった。持ち込み禁止のスマホを使ってメッセージを交わし、繁華街で遊んでいたのを見つけて連れ戻した。

 生徒たちがやってきて悩みを漏らす保健室も、思わぬ事態となった。

 「具合が悪い」と言ってはベッドの布団に潜り込んで、LINEのやりとりをするようになった。隠し撮りや、中の様子を動画配信アプリで実況中継する子もいた。こうなると、おちおち健康診断など個人情報も部屋に置けない。本当に体調の悪い生徒は次第に敬遠し始めた。

 昨年から、保健室の機能を少しずつ職員室に移している。養護教諭は席を職員室に置き、救急品はウエストポーチに入れて持ち歩いている。

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 同校は、世間的には「荒れた学校」だろう。取材のこの日も授業中、女子が3人、廊下へ飛び出してきた。

 「なにしょん」。高野教諭が声を掛けると「うるせー、だまれ」。それでも渋々、教室へ戻った。

 「言葉遣いがなってない。教員は呼び捨て。正直、それを駄目だと言っている暇はない」

 生徒同士や教師とのトラブルは次々に起きる。ただ昔に比べると、あからさまな暴力や授業妨害は確実に減ったという。

 「今はスマホをずっといじっている。その分、おとなしいというか…」

 同校でも今年2月、PTAと協力してスマホ・携帯の使用に関して「学校に持ち込まない」「家庭でルールを定める」などの約束を決めた。

 高野教諭は「上から押さえつけても駄目。粘り強く語り掛けたい」と言う。

 「一人一人が何を考えているか。生徒指導は子どもに寄り添いながら、関わりをつくっていくしかないんです」

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第3部 学校現場の模索 (1) 次善の策 スマホ持ち込んでも厳しくとがめない
2015.03.17 社会-17版 29頁 山陽新聞朝刊 

 徒歩通学の男子は手元に視線を落として「ながらスマホ」。自転車の女子はイヤホンでスマートフォンから音楽を聴いている。自転車かごに無造作にスマホを入れた子もいた。

 吐く息が白い2月初めの登校時。岡山県内のある公立中学校。全校生徒は200人余り。7、8人はスマホを隠すことなく堂々と正門をくぐっていく。

 この中学でのスマホ・携帯電話の所持率は5割超。文部科学省の通知では学校への持ち込みは原則禁止だ。同校も必要な場合は保護者が申請し、校内では教員に預けるのがルール。でも、徹底できていない。

 「スマホを引き離すのは簡単じゃない。体の一部みたいな子もいる」。登校を見守る生徒指導担当の高野哲平教諭=40代、仮名=が苦い顔をした。

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 10分間の「朝読書」が始まった。始業前の日課だ。だが、2年生のあるクラスをのぞくと、30人ほどのうち、男女2人は本の代わりにスマホを持っている。

 隣のクラスでは、1時間目の授業中もスマホをいじる男子が1人。「しまおう」と教員に声を掛けられた途端、教室を飛び出し、程なく連れ戻された。席に着くと、再びスマホを取り出した。

 下校時までずっと机の下でスマホを触っている子もいた。無料通信アプリ・LINE(ライン)やゲームに没頭している。

 口で注意はするものの、一見すると学校側の見て見ぬふり。でもこれが、教員と生徒が何度もぶつかり合った末の落としどころだと、高野教諭は言う。

 赴任した3年前。学校ではスマホ・携帯の持ち込みに厳しく対応していた。そのたびに生徒は口を荒らし、時に教室で暴れた。

 かつて1年生の授業中、スマホの着信音が聞こえた。持っていた男子をとがめた矢先、2回目が鳴った。無理やりスマホを奪うと胸元をつかまれ、授業は中断した。

 「強制的に取り上げれば授業どころではなくなる。他の生徒にも迷惑が掛かる。教員は対応に追われ、学校運営が成り立たない」

 同校は生徒指導の「困難校」。職員室に先生がいることは少ない。担当の授業がなくても、廊下の見回りや教室で勉強できない生徒の個別学習などに日々忙殺される。

 そして、スマホやネットにまつわる数々のトラブルへの対応…。

 生徒の持ち込みを厳しくとがめないことを、高野教諭はあえて「次善の策」と表現した。

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 翌日も学校を訪ねると、校門付近で男子がスマホ画面を友人に見せていた。顔をそむけて逃げる女子もいた。映っていたのは、中東の過激派組織が殺害したとされる日本人の姿だった。

 「人が嫌がることをしちゃいけん!」。さすがに、高野教諭も語気を強めた。

 スマホを取り上げたいとの思いは、ここでもぐっとこらえた。こんな場面ではいつも葛藤する。口頭だけの指導では甘すぎるのではないか。それもよく分かっているつもりだ。

 思わず、こんな本音を漏らした。

 「スマホなんて、この世の中からなくなればいい」

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 児童生徒のネットトラブルの対応に学校現場が揺れている。第3部では、子どもたちの指導に苦悩し、未然防止を模索する小中学校の現状を探る。

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 番外編 読者から 便利になりすぎた代償はあまりに大きい スマホを使い放題にさせるのは親の怠慢
2015.03.02 社会-15版 22頁 山陽新聞朝刊 

 インターネットと子どもたちの今を探る連載「子どもが危ない―深刻化するネットの闇」。前年の続編として1月にスタートさせたパート2は、スマートフォン・携帯電話の利用を制限する岡山県教委の「統一ルール」を題材にした第1部「ルールの波紋」、山陽新聞社などによるアンケート結果を基に、子どもたちのリアルな日常を描いた第2部「驚きの実態」を各9回掲載した。共感や不安、期待など取材班には親世代を中心にさまざまな反響が寄せられた。

 ネットトラブルに巻き込まれた高校2年の娘を思いやり、母親(50)は「被害者は、泣き寝入りするしかない」と嘆いた。

 同級生たちとの「お泊まり会」。娘は入浴中、シャッター音を発しないカメラで背後から写真を撮られ、無料通信アプリ・LINE(ライン)上に投稿された。画像データの消去を求めると「消した」と言われたが、写真は既に拡散。データ消去も後にうそと分かった。

 同級生は謝ることもなく楽しい高校生活を送り、一方の娘は人を信じられなくなり、心を痛めているという。「今の世の中、わが子がいつ加害者にも被害者にもなるか分からない」と戸惑いをのぞかせた。

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 「便利になりすぎた代償はあまりに大きい」とは、ネット社会に対する小学生の母親の思いだ。LINEいじめ、画像・動画の無断投稿などトラブルが身近に潜む実態を連載で知り、「多くの方が危機感を持たれたと思う」とつづった。

 ある女性は娘の高校時代を思い返した。当時、今は「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯を与えたところ、メールやゲームに没頭し、大学受験は全て失敗。「私たちを夢中にさせるものには『毒』が隠されている」と感じたという。

 小学生2人の母親(42)も、ネットに絡む事件やトラブルを耳にするたび、不安を抱く一人だ。「LINEは年齢制限があってもいい。(ネットのない)『不便さ』の中から人とのつながり方を学んだり、気配りができるようになるのではないか」と指摘した。

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 小中学生の午後9時以降のスマホ・携帯を保護者が預かる「統一ルール」。連載では、その導入の経緯や効果を丹念に追い、あらためて関心を呼び起こした。

 「ルールには、ただただ感謝。県教委にはトラブルとその解決策、指導方法も細かく示してほしい」とは中学生の保護者(42)。当事者となる中学3年女子は「(ルールは)良い対処法」とした上で「9時までに正しくスマホ・携帯を使っていなければトラブルは続く」と記し、一人一人が適切な利用法を考える大切さを訴えた。

 連載では子どもたちを見守る保護者や地域の責任にも言及。笠岡市、男性(48)は「子どもにスマホを使い放題にさせるのは親の怠慢」、30代女性は「運転中や参観日でもスマホを使用する大人に利用を制限されても、子どもは納得しない」と、それぞれ保護者の自覚を求めるなど、多様な意見が相次いだ。

 「家庭は家庭の、地域は地域の、学校は学校の役目があり、これらのスクラムが強固に組めればスマホ・携帯のトラブルは減らせる」。倉敷市の男性(68)は「連載を続けてほしい」ともしたため、取材班にエールを送ってくれた。

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第2部 驚きの実態 (9) 特別授業 児童の心に響く中学生講師の言葉 (第2部 終)
2015.02.26 社会-15版 34頁 山陽新聞朝刊

 赤磐市立山陽西小学校。2014年12月、3〜6年の各教室で10分間の「特別授業」が行われた。テーマは「スマートフォン・携帯電話の正しい使い方」。

 「お兄さんたちが来てくれました。注目!」。5年の教室。担任に紹介され、一礼した「講師」は詰め襟学生服の3人。地元の市立高陽中学校3年生だ。

 「インターネット上で悪口を書かれた」「無断で写真を投稿された」などという、自分たちが実際に見聞きしたネットトラブルの数々を説明。「中学生になっても、こんなことは絶対しないで」と締めくくった。

 高陽中は14年3月、生徒の発案でスマホ・携帯の校内への持参を追放する「推進大会」を開いたことで知られる。山陽西小を訪れたのは、その大会実行委メンバーと生徒会役員だった。

 教室の後方で山陽西小の中西伸司校長(59)は何度もうなずいていた。

 「大人ではなく、年齢が近い中学生の言葉だからこそ、児童の心に『身近なこと』として響くはず」

 情報モラル教育の一環として、中学生を講師に充てるアイデアを高陽中校長とともに発案した。どんな効果をもたらすか。特別授業は15年度も続けたいと思っている。

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 小学校69%、中学校74%、高校72%―。山陽新聞社と兵庫県立大が行った「学校アンケート」の結果によると、情報モラル教育を「授業として計画的に行っている」は、いずれも7割前後に上った。

 授業の中身を尋ねると、大学教員ら外部の専門家を招いたり、市販の教材を活用したりするケースが目立った。

 問題は、実効性をどう上げるかだ。各学校で試行錯誤が続く。

 内閣府の青少年ネット利用環境整備に関する普及啓発検討会議で委員長を務める桑崎剛氏(60)=熊本市=は、スマホ・携帯を使う子どもたちを「免許を持たないのに車を運転している状態」と例える。

 元中学校教諭として、ネットに絡む子どもたちのトラブルをつぶさに見てきた。

 「解決策は情報モラル教育にある。ただ、モラルの向上に特効薬はない。現場で地道にこつこつと取り組むことが最も大切だ」

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 美作市立美作第一小学校は14年12月、タブレット端末を使った情報モラル授業を初めて行った。その年の7月、5、6年生に対する独自アンケートで、スマホ・携帯の所持率が4割に上ることが分かり、「いずれトラブルが起きる」との懸念があった。

 授業では、このタブレット端末だけが接続できる模擬の会員制交流サイト(SNS)を活用した。ところが、中に自分の顔写真を安易に投稿したり、他人に成り済ましたりする児童がおり、見守る教員をぎょっとさせた。

 「ネットの世界では、子どもは大人の一歩先を歩いている」。安東いづみ校長(59)はあらためて実感した。「子どもたちにどう追い付き、正しい方向に導いていくか。教員は急いで、しかも、もっと深く学ばないといけない」

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 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第2部 驚きの実態 (8) 学校は知らない 余力乏しい教育現場 問題への対応後手に
2015.02.25 社会-15版 30頁 山陽新聞朝刊 

 体育館に集まった5、6年の児童は200人余り。講師の質問に挙手で答えた。

 「LINE(ライン)している人」。人気の無料通信アプリは6割ほどが利用しているようだ。「パズドラは?」も同じくらい。スマートフォンなどで楽しめるゲーム「パズル&ドラゴンズ」も注目度が高い。

 見守る教員は十数人。次の問いへの反応で、それまでの笑みは消えた。「知らない人とやりとりしている人」。1割ほどが手を挙げていた。

 2014年12月、情報モラル教育をテーマに、岡山県内の小学校で行われた講演会での一こまだ。

 インターネットに児童が日頃どう接し、どんなトラブルが起きているか、この学校が調べたことはない。「小学生なら『まだ心配ない』という気持ちがどこかにあった」と教頭は話す。「でも、これだけネットが身近なら何があってもおかしくなかった」

 この学校で初めてというネットトラブルが、ほんの少し前に起きていた。

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 6年の杏奈(12)が放課後、職員室の担任を訪ねてきた。スマホを使ってLINEグループでチャット(会話)している時、中学生女子から<そっち(小学校)に行っちゃる>と脅しのメッセージを受けたという。面識はなく、LINE上だけの「友だち」だった。

 発端はLINEでの杏奈の言葉遣い。担任が詳細を聞き取ったが、学校に押し掛けてくるほどの内容には到底思えず、LINEの通信を拒む「ブロック」を勧め、杏奈も従った。

 ところが数日後、女子を含めた中学生の男女数人が実際に乗り込んできた。担任から事情を聞かされていた別の教員が、げた箱前で待ち構える中学生の一団を発見。杏奈をかくまうとともに、中学生をなだめ、その場は事なきを得た。

 「子どもたちはネットでどこまでもつながっている。トラブルのことを事前に聞いていたから対応できたが、恐ろしいな、と思いました」。教頭の実感だ。

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 山陽新聞社と兵庫県立大が行った「学校アンケート」。児童、生徒のスマホや携帯電話の利用実態を把握しているかとの問いに、「定期的にアンケートを実施」は中学校で51%に達した半面、小学校は25%にとどまった。

 中でも小学校では「実態を把握していない」「児童の相談を随時受けて把握」との回答が合わせて46%に上り、実態調査への消極的な姿勢が浮かび上がった。

 杏奈の小学校は“事件”後、4〜6年生に対するスマホ・携帯の利用実態アンケートを初めて実施。ネットに関する教員研修の開催の検討も急きょ始めた。

 一方で教頭は、学校現場は余力が乏しいと感じている。日々の授業以外にも教材の研究、授業や生徒指導のための研修に教員は追われている。保護者への対応も一昔前に比べるとぐんと増えた。

 「教員は皆、ぎりぎりのところでやっている。何か事が起きないと動きだせないのが、多くの学校の本音ではないでしょうか」

 (文中は仮名)

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第2部 驚きの実態 (1) サイン LINEいじめ みんな離れていく
2015.02.17 社会-17版 31頁 山陽新聞朝刊 

 直樹(13)が歩み寄ると、仲良しのはずの男子4人がスッと離れていく。隣の教室に顔を出すと、数人が視線を泳がせた。

 岡山県内の中学校。1年の担任女性(51)は夏休み明けの2014年9月、教え子の異変に気付いた。女子や口数の少ない男子に近づくようになり、授業中に教室内をうろつくことも増えた。いずれも1学期にはなかった光景だ。同じ頃、家族から「きょうだいをけったり、たたいたりする」と相談が寄せられた。

 “サイン”をキャッチしてから約1カ月後、担任は会議室で2人きりになる時間を設けた。スマートフォンの無料通信アプリ・LINE(ライン)上で、同級生グループの20人ほどから攻撃を受けている、と聞かされた。持ち込みを禁じているスマホを「怒らないから」と見せてもらい、青くなった。<死ね><うざい>と短い中傷メッセージが連なっていた。

 直樹は声を絞り出すように言ったという。「うざいから俺と話したら罰金…5千円じゃって。じゃからみんな遊んでくれん」

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 スマホが急速に普及する中、インターネットに子どもたちはどう向き合っているのか。その一端を探ろうと、山陽新聞社は、兵庫県立大と共同で岡山県内の全小中高校に「学校アンケート」を行った。

 ネット上でのトラブルの有無を尋ねたところ「起きている」は高校78%、中学校76%、小学校16%。さらに、児童生徒への悪口、誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれる「LINEいじめ」は高校59%、中学校64%、小学校7%が「あった」と回答した。

 分析した同大の竹内和雄准教授は「ネット上のトラブルの大半は、利用者が急増するLINEが舞台」とする一方で「トラブルを学校が全て把握するのは難しく、氷山の一角に過ぎない」と指摘する。

 LINEは利用者同士、短いメッセージのやりとりが無料でできる便利さで人気に火が付いた。総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、10代のLINE利用率は7割に達している。

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 直樹に対する「LINEいじめ」の発端は、夏休みのある出来事だった。仲良し4人と、共通の友人が出場するスポーツを観戦した。応援そっちのけでスマホのゲームに没頭し、何度注意してもやめない直樹に周りはカチンときた。会議室での聞き取りで分かった。

 LINEグループの一人一人を注意すれば「チクッた(告げ口した)」と直樹が責められかねない。学活やホームルームの時間を使い、ネットモラルの向上を地道に訴えるしかないと、担任はもどかしさを感じている。

 「表面化したときには事態が既に深刻化しているのがLINEいじめの特徴。生徒指導は本当に難しい時代です」と担任は言う。

 3学期になった今も、友達とのぎくしゃくした直樹の日常は続いている。(文中は一部仮名)

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 ネットに関わるさまざまなトラブルが子どもたちの間で頻発している。第2部は山陽新聞社などが実施した各種アンケート結果とともに現状に迫る。

 学校アンケートは2014年5、6月、岡山県内の全小中高校666校に調査用紙を郵送。62%に当たる416校(237小学校、121中学校、58高校)から回答を得た。

 ネットトラブル解決名目で詐欺疑い逮捕=青森
2015.02.13 東京朝刊 

 インターネットのサイトを巡るトラブル解決料名目で現金をだまし取ったとして、県警捜査2課と十和田署は12日、東京都杉並区、会社員A容疑者(52)を詐欺の疑いで逮捕したと発表した。

 発表によると、A容疑者は1月21日、六戸町の女性(64)の携帯電話に「サイト登録料が未納になっている。データ削除のために費用がかかる」などとウソの電話をかけ、翌22日、東京都渋谷区内の私書箱宛てに現金約18万円を郵送させてだまし取った疑い。

 数日後、同様の電話を受けた女性が詐欺被害に気付いて同署に相談。だまされたふりをして都内の私書箱に荷物を送り、31日に受け取りに来たA容疑者を逮捕した。A容疑者はその際、22日に郵送させた荷物も所持していた。調べに対し、「荷物を受け取りに来ただけ」などと容疑を否認しているという。
 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第1部 ルールの波紋 (9) 特別な思い 親や家庭の力には限界 まちぐるみで支えたい 
2015.01.25 社会-15版 30頁 山陽新聞朝刊

 岡山、倉敷両市に挟まれたベッドタウン、岡山県早島町。町域は東西、南北ともわずか4キロ前後。小学校、中学校は一つずつしかない。

 県内最小のこの町で2014年8月下旬、スマートフォン・携帯電話の利用に関する独自ルール策定の動きが持ち上がった。県教委が午後9時以降の利用を制限する統一ルールを打ち出す2カ月余り前のことだ。

 直前の7月に公表された、中学1年を対象とした県の学力テスト・学習状況の調査結果。スマホやテレビでゲームをする時間が長いほど成績が下がる。そんな傾向が早島町でも明らかになった。

 独自ルールの原案を作り、導入事務の中心にいるのは町教委職員の鈴木謙一さん(50)=仮名。この仕事に特別な思いで臨んでいる。

 ネットにおぼれる今の子どもたちが、かつての長男の姿に重なるからだ。

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 発端は自宅リビングに置いていた家族共用のデスクトップパソコンだった。09年春、長男は中学2年になり、インターネットに興味を持った。

 アニメ主題歌の動画を夜遅くまで見ていた。そのうち朝起きられなくなり、学校から足が遠のくようになった。担任からは「学校で友人といさかいがあった」と聞かされた。

 「時間が解決してくれる」。最初は長い目で見守ろうとした。長男はもともと一つのことに熱中しやすいタイプ。どっぷり漬かっているパソコンの使用を制限すれば元の生活に戻れる、とも鈴木さんは考えた。

 だが、夜は10時までにやめるよう言っても守らない。やめないときは怒鳴って電源を切った。同じ光景の繰り返しに、ある日、パソコンを2階ベランダにたたきつけて壊した。感情を抑え切れなかった。

 この日を境に長男は自室にこもりだした。食事は家族と別に一人、カップ麺を食べた。風呂にもほとんど入らない。心配した妻がのぞくと暴れ、壁を蹴り付けた。自室の床に焦げ跡を見つけたこともある。傍らには紙の燃えかすがあった。

 「自殺するんじゃないか」。強い不安に襲われた鈴木さんは、気持ちを落ち着かせようと、欲しがっていたノートパソコンを与えた。長男はいよいよ自室から出てこなくなった。

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 15年1月14日。早島町教育委員は会合を開き、独自ルール導入を急ぐことで一致した。スマホ利用は午後9時まで▽ゲーム利用は1時間まで―の2点が柱だ。

 長男が動画に関心を持ち始めた頃、ネットの世界への入り口は主にパソコンだった。今は親が簡単に個人用のスマホを与えてしまう。「トラブルは子どものより身近な存在になった」。鈴木さんはそう思う一方、トラブルに向き合う親の力、家庭の力には限界があると感じている。

 中学卒業後も自室にこもっていた長男は13年秋、通信制高校で学び始めた。ネットの世界を抜け出せた理由ははっきりしない。小、中学校での教師経験がある鈴木さんは、子どもへの対応には少なからず自信があった。だが、長男との日々を振り返るたび、無力感にとらわれる。

 「当時は一生懸命だった。困っている家庭はもう十分頑張っている。だからこそ、トラブルが起きたときに責任を押し付けることなんてできない」

 保護者や家庭を孤立させず、地域やまちぐるみで支える契機になれば―。県教委の統一ルールで関心が高まる今、独自ルールを打ち出すチャンスと思っている。
 ネットトラブル、いじめ… 学校、家庭の対応テーマに講演会 東京の協議会 2月14日、秋田市のジョイナス
2015.01.23 朝刊 

 インターネットトラブルやいじめ、不登校など子どもの問題に関する相談を受け付けている「全国webカウンセリング協議会」(東京)による講演会が来月14日、秋田市のジョイナスで開かれる。

 同協議会の安川雅史理事長が「『いじめ』『不登校』『ネットトラブル』学校や家庭での対応」と題して講演。安川理事長と同協議会所属のカウンセラーによる個別相談会も行う。

 子どもしんぶん さん太タイムズ 中高(ちゅうこう)7割(わり)強(きょう)でトラブル 14年(ねん)山陽新聞(さんようしんぶん)スマホ・携帯(けいたい)利用調査(りようちょうさ) いじめや写真(しゃしん)無断(むだん)掲載(けいさい) 小学校(しょうがっこう)でも2割(わり)弱(じゃく)
2015.01.18 さん太タイムズ-01版 103頁 山陽新聞朝刊

 山陽(さんよう)新聞社(しんぶんしゃ)と兵庫県(ひょうごけん)立大(りつだい)が2014年(ねん)5、6月(がつ)、岡山県(おかやまけん)内(ない)の全(ぜん)小中(しょうちゅう)高校(こうこう)を対象(たいしょう)に行(おこな)った「スマートフォン・携帯電話(けいたいでんわ)の利用(りよう)に関(かん)するアンケート」で、インターネット上(じょう)でのいじめ、写真(しゃしん)の無断(むだん)掲載(けいさい)といった何(なん)らかのトラブルが中学校(ちゅうがっこう)、高校(こうこう)の7割(わり)強(きょう)で発生(はっせい)していたことが分(わ)かりました。

 調査(ちょうさ)結果(けっか)によると、ネットトラブルが「起(お)きている」と回答(かいとう)したのは高校(こうこう)78%、中学校(ちゅうがっこう)76%、小学校(しょうがっこう)16%。内容(ないよう)を複数(ふくすう)回答(かいとう)で尋(たず)ねたところ「児童(じどう)生徒(せいと)への悪口(わるくち)、誹謗(ひぼう)中傷(ちゅうしょう)の書(か)き込(こ)み」が最(もっと)も多(おお)く、高校(こうこう)72%、中学校(ちゅうがっこう)68%、小学校(しょうがっこう)15%。

 LINE(ライン)など無料(むりょう)通信(つうしん)アプリに関(かん)するトラブルがあったのは高校(こうこう)79%、中学校(ちゅうがっこう)77%、小学校(しょうがっこう)12%。具体(ぐたい)的(てき)には特定(とくてい)の児童(じどう)生徒(せいと)をグループから排除(はいじょ)したり、無断(むだん)で撮影(さつえい)した写真(しゃしん)を投稿(とうこう)したりするケースが目立(めだ)ちました。

 一方(いっぽう)、スマホの急速(きゅうそく)な普及(ふきゅう)により、近(ちか)い将来(しょうらい)のトラブル増加(ぞうか)が見込(みこ)まれる小学校(しょうがっこう)について、山陽(さんよう)新聞社(しんぶんしゃ)と兵庫県(ひょうごけん)立大(りつだい)は14年(ねん)11月(がつ)、岡山市(おかやまし)の大規模(だいきぼ)校(こう)10校(こう)の4〜6年生(ねんせい)に緊急(きんきゅう)アンケートを実施(じっし)。ネット接続(せつぞく)が可能(かのう)な端末(たんまつ)の所持(しょじ)率(りつ)はスマホ17%、「ガラケー」と呼(よ)ばれる従来(じゅうらい)の携帯電話(けいたいでんわ)13%、キッズ携帯(けいたい)21%だったほか、ゲーム機(き)によるネット利用(りよう)は51%に達(たっ)しました。

 緊急(きんきゅう)アンケート結果(けっか)によると、ネット端末(たんまつ)を1日(にち)2時間(じかん)以上(いじょう)利用(りよう)する児童(じどう)は23%で、スマホ所持(しょじ)者(しゃ)に限(かぎ)ると50%。ネットトラブルは全(ぜん)10校(こう)で1件(けん)以上(いじょう)確認(かくにん)され、スマホ所持(しょじ)者(しゃ)のうち「ゲームなどで課金(かきん)した」は26%、「知(し)らない人(ひと)とやりとりした」は23%。スマホ所持(しょじ)者(しゃ)の半数(はんすう)は家庭(かてい)内(ない)での利用(りよう)ルールを設(もう)けていませんでした。

調査(ちょうさ)の方法(ほうほう)

 スマホ・携帯(けいたい)の利用(りよう)に関(かん)するアンケート 2014年(ねん)5、6月(がつ)、岡山県(おかやまけん)内(ない)の全(ぜん)小中(しょうちゅう)高校(こうこう)666校(こう)に調査(ちょうさ)用紙(ようし)を郵送(ゆうそう)。62%に当(あ)たる416校(こう)(237小学校(しょうがっこう)、121中学校(ちゅうがっこう)、58高校(こうこう))から回答(かいとう)を得(え)た。

 小学生(しょうがくせい)への緊急(きんきゅう)アンケート 14年(ねん)11月(がつ)、岡山市(おかやまし)内(ない)で児童(じどう)数(すう)が多(おお)い小学校(しょうがっこう)に調査(ちょうさ)を依頼(いらい)し、協力(きょうりょく)を得(え)られた10校(こう)の4〜6年生(ねんせい)を対象(たいしょう)に実施(じっし)。スマホや携帯(けいたい)の所持(しょじ)率(りつ)、ネットトラブルの有無(うむ)などについて、ほぼ全員(ぜんいん)の4436人(にん)が答(こた)えた。

 子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第1部 ルールの波紋 (1) 緊急避難 続発するトラブル もう見過ごせない
2015.01.17 一面-17版 1頁 山陽新聞朝刊 

 制服姿の少女2人が笑っていた。無料通信アプリ・LINE(ライン)で届いた1枚の自撮り画像。添えられた一文とともに見返すたび、エミ(15)は胸をえぐられるような気持ちになる。

 <もう二度と学校、来んなよwww>

 本来は「笑」を意味する「w」の英字が自分への「あざけり」に映る。

 岡山県南の中学3年。2014年末、音楽雑誌や化粧品が床に散らかる自室でエミは、スマートフォンの液晶画面を見詰めたまま「ホンマ、苦しい」と言った。

 学校に行けなくなり、もう4カ月。画像の2人とは親友。「どこに行くのも一緒」という仲良し3人組のはずだった。

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 14年夏。エミの日常が暗転した。

 親友のうち1人と写ったプリクラをLINEに投稿した。「無断で何やってんの」と責められ、了解を取った、取らないと口論になった。以来、2人とも冷たくなった。

 不安になり、心を許す県外の少女に相談した。短文投稿サイト・ツイッターで知り合った同い年。親友2人との面識はない。でも<何とかしてあげる>と仲介役を買って出てくれた。すがる思いで、こじれた親友の連絡先を伝えたことが、火に油を注いだ。

 <何で知らん人にLINE教えるん>

 <信じられん>

 親友2人から厳しいメッセージが届いた。クラスメートからも<最悪>とLINEでののしられるようになり、しばらくしてその非難も途絶えた。特定の人物をのけ者にして別グループをつくる「LINE外し」。自分に向けられた2人の悪意がクラス全体に広がっていると知った。

 「みんな、おかしい。ハミられた」。「仲間外れ(はみ出し者)」を意味する若者言葉で家族に訴え、エミは自室にこもるようになった。

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 LINEいじめ、長時間使用に伴う生活習慣の乱れ、性被害に学力低下。手軽にインターネットを楽しめるスマホが子どもたちの間に急速に浸透し、比例するように全国でトラブルが相次いでいる。

 岡山県内の中学2年女子は14年夏、ネット上でのトラブルが原因となり、現実の生活でいじめに遭った。不登校の末、転校したが、元の学校の生徒とLINEでつながっているクラスメートがいた。転校の経緯が発覚。わずか数日で再び不登校に追い込まれた。

 県内では同じころ、中学2年男子が、交際相手の女子生徒のわいせつ画像をLINEグループに投稿。受け取った同級生が別のグループに転載して拡散し、男子や同級生ら十数人が警察の取り調べを受ける騒ぎとなった。

 「ネット接続が手軽なスマホの登場が、重大なトラブルをより身近なものにした」。子どもとネットの問題に詳しい兵庫県立大の竹内和雄准教授(49)の指摘だ。

 こんなケースもある。13年秋、県北に住む中学3年女子が家出した。家族は警察に捜索願を出し、学校や友人とともに所在確認に手を尽くしたが、足取りがつかめない。約1カ月後。携帯電話会社から毎月届く利用明細の発信番号をたどり、ようやく東日本の成人男性宅に身を寄せていたことが分かった。男性とはLINEを通じて知り合ったと後に判明した。

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 かつてネットトラブルの舞台は高校が中心だった。だが、スマホ・携帯の所持年齢が下がるにつれ、「主戦場」は中学校に移行。さらに小学校へと移りつつある。山陽新聞社と兵庫県立大が14年5、6月に実施した岡山県内の全小中高校へのアンケート結果では中学校の76%、小学校の16%で何らかのトラブルが確認された。

 岡山県教委は14年11月、小中学生のスマホ・携帯利用をめぐる全県的な統一ルールをスタートさせた。午後9時以降は保護者が預かる▽ゲーム利用も午後9時まで▽学校でスマホ・携帯について考える場を設ける―の三つが柱。都道府県教委として全国初の試みだ。

 「現状のまま手をこまねいているわけにはいかず、緊急避難としてルールを導入した。半ば強制的だが、反発は覚悟の上」と竹井千庫教育長は話す。まだ危機感に乏しい一部の家庭、学校現場に一石を投じる狙いがそこにはある。

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 学校側は今でも、親友2人との間だけのささいなもめ事が不登校の原因と捉えている、とエミはいら立ちを感じている。「LINEで別クラス、別学年までみんなつながってるのに、根深さが全然分かっとらん」

 学校に行けなくなって2カ月ほどたった頃だった。自宅を訪れた担任は「2人はもう気にしてないよ」と登校を促してきた。

 親友2人の自撮り画像と自分への中傷がLINEに載ったのは、その訪問から間もなくだった。

 「ネットって怖い。弱い子なら、ホンマ、自殺してる」。液晶画面に訴えるようにエミは言った。(文中は一部仮名)

 …………………………

 ネットの世界で子どもたちが悲鳴を上げ、岡山県教委は統一ルール導入に踏み切った。2014年に連載を始めた「子どもが危ない―深刻化するネットの闇」。続編となるパート2の第1部では、子どもたちの現状とルールの波紋を追う。(次回から社会面に掲載します)

ズーム

 スマホ・携帯の利用に関するアンケート 山陽新聞社と兵庫県立大が2014年5、6月、岡山県内の小中高校全666校に調査用紙を郵送。62%に当たる416校(237小学校、121中学校、58高校)から回答を得た。学校が確認したスマホ・携帯利用に関する児童生徒のトラブル(複数回答)は「悪口、誹謗(ひぼう)中傷の書き込み」が最も多く小学校15%、中学68%、高校72%。LINEなど無料通信アプリに関するトラブルは小学校12%、中学校77%、高校79%。

 “ネットトラブルから子ども守る” 大阪府がDVD配布 全小中校などに
2014.12.08 NHKニュース 


 大阪府は、性犯罪やネット上のトラブルから子どもたちを守るため、DVDをつくり、来年3月までに、府内すべての幼稚園や小中学校などに配布することになりました。

 大阪府内では、子どもに対する性犯罪が年々増加するなど、子どもが被害にあう犯罪やトラブルの防止が課題となっています。

 そうした危険から、子どもたちを守るため、府は、15の動画が収められたDVDをつくりました。

 このうち、スマートフォンやインターネットに潜む危険を紹介する動画では、ネット上の掲示板で知り合った大人から性暴力の被害を受けたり、個人情報の流出などのトラブルに巻き込まれたりするケースがあることが紹介されています。

 また、防犯ブザーの活用を解説する動画では、タレントの桜稲垣早希(サクライナガキサキ)さんが、使い方や電池が切れていないかを日ごろから確認するよう呼びかけています。

 府は、DVDを来年3月までに府内すべての幼稚園や小中学校などに配布することにしていて、保護者にも活用してもらうよう働きかけることにしています。

 ネットトラブル仮処分申し立て 4年で20倍に激増 東京地裁
2014.10.23 朝刊

 インターネットの掲示板で誹謗(ひぼう)中傷されたとして投稿者の情報開示や投稿の削除をプロバイダー(接続業者)やサイト運営管理者に求めるなど、ネット関係の仮処分申し立てが激増している。東京地裁が2013年に扱ったのは711件で、4年前の20倍以上になったことが22日、地裁関係者への取材で分かった。

 被害者が東京在住以外でも、仮処分はプロバイダーなどの本社所在地を管轄する東京地裁に申し立てる場合が多く、全国的な増加を反映しているとみられる。

 会員制交流サイト(SNS)などの普及でトラブルが増加したのと、対処する手続きが周知されたのが主な理由。02年施行のプロバイダー責任制限法では被害者が投稿者の情報開示や記事の削除をプロバイダーなどに直接請求できるが、司法手続きを取らざるを得ない実情を示している。

 関係者によると、東京地裁が09年に扱ったネット関係の仮処分は計33件で、仮処分申立総数の3%に満たなかった。しかし、10年に175件、11年に499件、12年は736件となった。13年の711件は、仮処分申立総数の40%近くを占める。

 ネット関係の仮処分には、名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害の状態を解消するための「投稿記事の削除」、損害賠償請求訴訟を起こす前段階として「発信者(投稿者)情報の開示」や通信記録保存のための「発信者情報の消去禁止」の類型がある

 スマホトラブル防止、教員向け教材 「生徒指導に活用、府内全校に配布」
2014.10.17 大阪朝刊 

 スマートフォンを使う子供たちが無料通信アプリ「LINE(ライン)」などを通じて犯罪などに巻き込まれるのを防ぐため、府が教員向けの教材を作成し、府内の全小中高校に配布する方針を、府青少年・地域安全室の清水紀行青少年課長が16日、明らかにした。開会中の9月定例府議会の総務常任委員会で、大阪維新の会の西野修平府議の質問に対して答弁した。

 府によると、教材は「ネットトラブル回避研修教材(仮称)」。

 西野府議は「府として青少年のネットリテラシー(インターネット情報を正しく理解し解釈する能力)の向上のため、どのように取り組んでいくのか」と質問。

 清水課長は8月からLINEやディー・エヌ・エー(DeNA)などの携帯電話関連事業者を招き、教員向けの研修会を実施していることを紹介し、「成果を踏まえ、生徒への指導に活用できる教材を作成し、府内全ての小中高校に配布する」と答弁した。

 また、インターネットを通じて性犯罪などのトラブルに巻き込まれることを防ぐため、DVD教材を作成していることも明らかにした。いずれも今年度中の全校配布を目指している。

 ネットトラブル防げ /高校生、児童に寸劇で訴え /麻生/<面名=川崎>
2014.07.11 神奈川新聞本紙

 インターネットのトラブルやいじめから身を守る方法を伝えようと、県立麻生高校(川崎市麻生区金程)メディア研究部が10日、市立千代ケ丘小学校(同区千代ケ丘)で寸劇を交えた教室を開いた。6年生の児童約90人が実践的な防止策などを学んだ。

 同研究部は、6月のNHK杯全国高校放送コンテスト神奈川大会・創作テレビドラマ部門で優勝するなどの実績があり、3年ほど前から県教委と県警が主催する高校生による非行防止教室の一環で、近隣の小学校に出向いている。

 演出や音楽など工夫を凝らした寸劇では、児童への事前アンケートで把握したネット利用状況などを基に、女子高校生が無料通話アプリ「LINE」で知り合った男に襲われる場面などを再現。劇の合間には、「これはやってもいいこと?」「犯罪につながる?」などと問い掛け、「困ったら家の人や学校の先生に相談を」と呼び掛けた。

 「これからLINEやツイッターを使うようになったら、使い方が正しいか考えようと思った」と同小の狩野祐衣さん(12)。同部の景山結衣部長(17)は「加害者にも被害者にもならないために、社会のルールやマナーを伝えたかった。みんな積極的に参加してくれた」と手応えを感じていた。

 ネットトラブル 少年非行防ごう 母の会が総会
2014.07.06 津山-15版 


 「津山署管内少年をまもる母の会」の総会が3日、津山市林田の同署で開かれた。

 約40人が出席し、井上治子会長が「インターネットのトラブルや脱法ハーブの問題など子どもを取り巻く環境は大きく変化している。子どもの健全な育成のために知恵を出し合おう」とあいさつ。本年度は非行少年のたまり場の発見や薬物乱用防止の啓発活動推進などを重点項目にすることを決めた。

 総会ではスマートフォンなどを通じて犯罪に巻き込まれる子どもが増えている実態を踏まえ、同署の少年補導員が具体事例を紹介。「携帯電話を使う際の約束事を家庭で話し合って」と呼び掛けた。

 子どものネットトラブル急増 兵庫県が保護者向けガイド 県立大と作成 実態や予防法を解説
2014.05.14 朝刊 

子どものネットトラブル急増

兵庫県が保護者向けガイド

県立大と作成 実態や予防法を解説

 インターネットをめぐる子どもらのトラブルが増加していることを受け、兵庫県は県立大の学生らと協力し、保護者向けのガイドブックを作成した。2013年度の県の調査では、有害サイトへのアクセスを制限する携帯電話の「フィルタリング」の18歳未満利用率が5割を切っており、まず実際に携帯電話の契約を行う保護者の理解を高める狙いだ。(岡西篤志)


 県の調査では、11年度に72・4%だった18歳未満のフィルタリング利用率は、スマートフォンの普及に伴い13年度は49・6%に激減。フィルタリングを利用すれば無料通信アプリ「LINE(ライン)」などが使えなくなるといった誤解が保護者の間にあることも一因という。

 こうした状況を受け、県は県立大環境人間学部の竹内和雄准教授や学生と協力してガイドブックを作成。

 竹内准教授らが県内の女子高校生を対象に行った調査によると、スマホを持つ生徒のうち、66・4%が「見知らぬ人とネット上で連絡を取ったことがある」と答え、29・5%が「実際に会ったことがある」と答えたという。ガイドブックにはこうした調査結果やオンラインゲームのトラブルの実態、ネット上に流出した個人情報の削除の難しさ、家庭でのルールづくりなどを掲載している。

 ネットトラブルや不登校の事例紹介 9日、燕で講演会
2014.02.28 長央-10版 

 若者を取り巻く現状を知ってもらおうと「未来を拓(ひら)く若者支援講演会」が3月9日午後1時半から、燕市中央公民館で開かれる。

 燕市教育委員会などの主催。三条地域若者サポートステーションの職員がこれまで関わった不登校の事例などを紹介。「ネットトラブルの現状と危険性」と題し、県警生活保安課サイバー犯罪対策室の斎藤康夫さんが講演する。

 ネットトラブル 気を付けて 盛岡市消費生活センター 紫波総合高で講座
2014.01.21 朝刊 16頁 

 盛岡市消費生活センター(久保田正文所長)は20日、紫波町日詰の紫波総合高(田中耕之助校長、生徒545人)で、スマートフォンでのネットトラブルや悪質商法から身を守るための対策を紹介する出前講座を行った。

 3年生約180人が参加。同センターの佐藤幸伸主査が映像を用いながら、スマートフォンの正しい使い方などを説明した。

 佐藤主査は「今までは先生や両親など守ってくれる人がたくさんいた。そのフィルターが外れる時、消費者トラブルに巻き込まれる危険性が高くなる」と呼び掛けた。

 同校では卒業後、7割の生徒が就職するため、社会人へのステップアップとして同講座を実施。似里(にさと)加奈さんは「これから社会人になるので慎重な判断を心掛けたい」、八巻紘輝(ひろき)君は「スマートフォンの管理意識を改め、安全に使いたい」と気を引き締めた。

 ネットトラブル 親子で自衛*LINE、ゲーム機…特性知って*緑ケ丘小で保護者ら勉強会*学校、家庭の連携確認
2013.12.04 北海道新聞朝刊地方 

 【北広島】最新のインターネット事情や、スマートフォンなどの無料通信アプリ「LINE(ライン)」について理解し、ネットトラブルから子どもをどう守るかについて考える講演会が2日夜、緑ケ丘小で開かれた。保護者や教諭ら約60人が、携帯型ゲーム機でもネットに接続できる現状や、大人同士が情報交換する重要性を学んだ。(片岡澄江)

 緑陽中学校区青少年健全育成連絡協議会などの主催。企業や行政の委託でネットを監視するピットクルー(東京)インターネット利用者行動研究室の高橋大洋室長が講演した。

 高橋室長は「ラインはカラオケボックスのように閉鎖的」とし、怪しいサイトを見て問題が起こった昔とは異なり、子ども自身が何かを書くことで問題になると指摘。機器を与える際には「子どもに買ってあげるではなく、親の物として買って貸すのも一つ。遊びそのものを禁じるのではなく、時間管理など遊び方を指導して」と伝えた。

 講演に先立ち、緑ケ丘小の田中健二教諭と緑陽中の久々江(くくえ)史也教諭が現状を報告した。

 田中教諭は、無線LANに接続した携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」で他校の子どもとやりとりしている児童もいる実態を伝え、「ネット接続できないように規制されているか、定期的にゲーム機を見る必要がある」と指摘。久々江教諭は、兄弟や地域など人と接する機会が少なくなった生徒の対話力低下を懸念し、「トラブルは家庭や地域の協力なしには解決できない」と学校との連携を求めた。

 性的被害やいじめ…ネットの危険性指摘*留萌高で道教委が講演会
2013.09.03 北海道新聞朝刊地方 

 【留萌】「子どもたちをネットトラブルから守るための保護者講演会」が2日、留萌高で開かれ、留萌署生活安全課の高橋千洋課長=写真=らが「15年前の自分の裸の画像が今もネット上に公開され、苦しんでいる女性がいる」と話し、ネットの危険性を指摘した。

 道教委の主催で、留萌管内のPTAや保護者ら19人が出席した。

 高橋課長は見知らぬ男が児童らに声かけする事案が市内で増えていると説明。「性的被害にあう中高生は無料のゲームサイトや掲示板が出会いのきっかけの8割」と指摘した。「援助交際は普通の女の子が安易に手を出すことが多い」とし、被害に気づいたら警察に連絡をと呼びかけた。

 また、留萌教育局社会教育指導班の岡田智英主査は、次第に「悪口大会」へと発展するネットいじめの現状を説明。有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」サービスの利用を勧めた。

 ネットの危険性学ぶ 高岡市戸出中
2013.07.15 朝刊 

 高岡市戸出中のネットトラブル防止教室はこのほど、同校で開かれ、生徒や保護者約400人がスマートフォン(多機能携帯電話)のアプリなどに潜む危険性を学んだ。

 県PTA連合会でつくる「携帯・インターネット安全教室キャラバン隊」から派遣された高岡ケーブルネットの横山淳一技師が講師を務めた。

 横山さんは無料通信アプリ「LINE」や短文投稿サイト「ツイッター」について「言葉の使い方によっては脅迫容疑で逮捕されることもある」と指摘した。

八幡中で情報モラル講演会 インターネットトラブル防止へ
2013.06.20 朝刊 

 【岐阜県】パソコンやスマートフォンなどインターネット上の情報トラブル防止につなげようと、郡上市八幡中学校PTAは十九日、全校生徒二百六十五人と保護者を対象に情報モラル講演会を開いた。

 KDDIの大久保輝夫CSR・環境推進室マネジャーが講師。大久保さんはトラブルの直接要因を「個人情報の掲載と不用意情報の発信」と指摘。「安易な書き込みから情報が拡散して自分や友人、学校の名誉を傷つけてしまう。入試など将来を危うくする可能性もある」と話した。

 使い方を間違えば個人情報の流出による見知らぬ人からの犯罪被害や、ネットいじめにつながるトラブル事例も紹介。「相手の立場に立って考える想像力を身に付け、家庭でもルールを作って」と呼び掛けた。

ネットトラブル、疑似体験で学ぶ 防止へウェブコンテンツ、8事例を紹介/大分県
2013.06.19 西部地方版/大分 

 ネットトラブルを疑似体験して被害を未然に防ごうと、県消費生活・男女共同参画プラザ(大分市)が、インターネットトラブル体験学習ウェブコンテンツを作った。出会い系サイトやワンクリック請求などの事例を体験しつつ、防止の知識を身につけられる。

 プラザには、インターネットの悪徳商法や知識不足による消費者トラブルの相談が多く、2011年度は700件以上あった。トラブルを未然に防ぎ、被害にあった時の正しい対応を知ってもらおうと企画した。

 疑似体験できるのは、(1)無料サイト(2)ワンクリック請求(3)出会い系サイト(4)ネットショッピング(5)ネットオークション(6)オンラインゲーム(7)スマートフォン(8)SNS・ソーシャルメディアの八つの事例。選択すると、ご当地アイドルユニット「スパティオ」が登場人物となって話が進められていき、最後に被害を防ぐアドバイスが表示される。

インターネットトラブル情報を収集 埼玉被害なくす会
2012.11.01 ニッポン消費者新聞 

 適格消費者団体の埼玉消費者被害をなくす会は10月10日、インターネットトラブルをテーマに消費者から被害情報を収集する。会員や会員団体に加え、イベントを通じて一般消費者にもアンケート調査する。被害の実態を把握し、申し入れ活動などにつなげる狙い。

 この調査は、なくす会が毎年実施している「めやすばこ」と呼ばれる消費者被害情報収集活動。前年度は「訪問販売・電話勧誘トラブル」をテーマに実施した。

 会員や会員団体を通じてアンケート用紙を配布するほか、関連団体のフェスティバルや学習会などで一般消費者にも協力してもらう。12月10日までに回収し、寄せられた情報をなくす会活動委員会で集計。その結果をもとに弁護士や相談員で構成するなくす会検討委員会で事案として検討し、業界や事業者への申し入れ活動などにつなげる方針だ。

インターネットトラブルの分類方法の提案
2011.06.18 情報社会学会誌 

整理番号 : 12A0002916

和文標題 : インターネットトラブルの分類方法の提案

著者名  : 田代光輝(ニフティ), 田代光輝(産業技術大学院大)

資料名  : 情報社会学会誌

JICST資料番号: L7837A

ISSN   : 1881-0101

巻号ページ (発行年月日): Vol.6, No.1, Page.101-114 (2011.06.18)

写図表参 : 写図5, 表6, 参16

資料種別 : 逐次刊行物(A)

記事区分 : 短報(a2)

発行国  : 日本(JPN)

言語   : 日本語(JA)

和文抄録 : インターネットは社会インフラとして日常生活で多く利用されるようになった。その反面,ネットに関連するトラブル(ネットトラブル)が増えるようになった。ネットトラブルについては,これまで様々な立場から様々な観点で分析・研究がされているが,それぞれの専門分野や立場からの分析・研究が主である。各省庁が紹介している事例をとっても,それぞれの管轄範囲内での紹介のみにとどまっている。そこで,本研究では,先行研究における分類を収集したうえで,トラブル事例を「金銭トラブル」「コミュニケーショントラブル」「情報管理トラブル」「心身トラブル」の4つの大分類と「詐欺」や「ネットいじめ」などの18の小分類に分類して分析した。今回ネットトラブルに関してのまとめ作業を行ったことで,改めてトラブル全郎を俯瞰してみることができ,それにより,これまでの分析が,各省庁やメディアの管轄や特性に偏った事例紹介になっていることがわかった。また,解決案を回答しづらいものは紹介していないなどの状況も把握することが出来た。今後,ネットトラブルの議論をする上で,今回の事例分類が基礎となることで,トラブルの予防・対応の研究が深まることを期待する。

分類コード: JC03000K(681.3:654)

シソーラス用語 : *インターネット, *故障, *事故, *分類, 事例研究

準シソーラス用語: *トラブル

科学技術振興機構
インターネットトラブル最新手口 高い匿名性を悪用なりすましに注意 「ペニーオークション」「出会えない“出会い系”」「SNS(会員制交流サイト)」
2011.01.01 ニッポン消費者新聞 

●「友達になって」「お金あげる」と甘言、若者ら被害

 インターネットの高い匿名性を悪用した悪質商法が横行している。SNS(会員制交流サイト)や出会い系サイトなどの参加型サイトで、友達・恋人募集を装った「なりすまし」、サイト運営者と共謀した「サクラ」が暗躍し、若者が高額被害に遭うケースが相次いでいる。また、入札のたびに手数料がかかる新型のインターネットオークション「ペニーオークション」でトラブルが発生している。

●ペニーオークション 〜落札できずに高額手数料〜

 神奈川県消費生活課や大阪府消費生活センター、奈良県消費生活センターはこのほど、「ペニーオークション」に関する苦情が寄せられているとして注意を呼びかけた。ペニーオークションは最新の家電製品などが激安で出品されているのが特徴で、様々なサイトが立ち上がっている。しかし「落札できずに手数料だけかかった」「定価で購入した場合よりも高くなった」などの苦情が寄せられており、各地の消費生活センターは警戒を強めている。

 ペニーオークションは「ペニー」「コイン」などと呼ばれるポイントを事前に購入し、入札のたびにポイントを消費しながら参加者と競合して商品を落札するオークション。地上デジタル放送対応テレビが数千円で出品されるなど激安出品で話題となっている。

 一度の入札金額が1円から数十円と小さく、価格の上昇がいたって遅いのが通常のインターネットオークションと違う点。また、入札のたびに残り時間が延長されるシステムで、落札までに時間がかかる上、入札終了時刻が個々の参加者に分からないという相違点もあるという。

 ペニーオークションの最大の魅力は人気商品が激安で購入できる可能性があるということ。入札に有料ポイントが必要なため価格が上昇する過程で入札数が減っていき、最終落札者は一般販売価格を大きく下回る価格で商品を購入できる可能性がある。しかし一方で、最終落札者以外は商品を購入できず、参加者の多くがポイントを消費するだけで終わってしまう危険性がある。また、消費したポイントを無駄にしたくないとの心理が働き、通常の冷静な判断を欠いた状態で入札し続ける恐れもある。

 奈良市の30歳代の男性はペニーオークションに参加。事前に購入したポイントを使って入札したがいつまでたっても落札できなかった。また大阪府消費生活センターには「オークションサイトで、商品入札するのにポイントの利用が必要である。落札できそうになると誰かが入札するので、ポイント代ばかりかさむ。詐欺のようである」との苦情が寄せられている。

 参加する前に利用規約や利用ガイドを調べ、取引条件や仕組みを確認することが重要。また、大阪府は「自動入札機能などを利用すると予想外に高額な入札手数料を支払うことになりかねない」と注意を呼びかけている。

●出会えない「出会い系」 〜サクラ使い有料メール〜

 神戸市生活情報センターは11月30日、出会い系サイトで頻繁に有料メール交換を利用させられ、高額なサイト利用料を請求される被害が発生しているとして注意を呼びかけた。サイト運営業者と共謀したサクラが「芸能人と会える」「お金をあげる」などと甘い言葉でメール交換を続けさせるなどの手口が横行しているという。

 同センターによると、「出会い系サイト」に関する苦情は、03年の出会い系サイト規制法の制定とともに減少していたが、07年度から再び増加。事業者に18歳未満の子供との異性交際を求める書き込みの削除義務や、保護者にフィルタリングサービス活用の努力義務などが設けられた08年の同法改正以降、10〜20歳代の若年層の相談は減少傾向となったが、09年度は全体で365件の相談が寄せられた。今年度は10月末現在で196件、女性からの相談が初めて男性を上回った。

 出会い系サイトなどの「有料メール交換サイト」は、見知らぬ異性と電子メールなどで互いに連絡を取り合う仕組み。このサイトを利用するにはサイト運営業者に利用料を支払わなければならず、「掲示板を見る」「メールを送る」「メールを読む」「画像を見る」などの操作のたびに課金され、ポイント制となっている場合が多い。運営業者はサクラを使うなどして頻繁にメール交換をさせているとみられる。

 神戸市垂水区の40歳代女性は無料の占いサイトに登録していたところ、出会い系サイトからメールが届き、「悩みの相談にのってくれたら5千万円の謝礼を出す」と言われ、メールをするためポイントを購入。その後も銀行振り込みや電子マネー、クレジットカードを利用してポイントを買い続け契約額は250万円に膨らんだ。何度も約束した待ち合わせ場所に出かけたが出会えなかった。

 また、神戸市東灘区の30歳代女性は、無料サイトから「芸能人が利用している出会い系サイトがあり男性タレントとメールができる」と紹介され利用。しかしマネージャーと称する人とメール交換するだけで男性タレントとは出会えず、そのうちお金をあげるからといわれ、メール交換をするためのポイントを合計17万円分買い続けた。

 全国の消費生活センターに寄せられた事例では、被害者の多くがメール交換を止めたいと返事しても、「助けてほしい」「これまでの費用は会ったときに返す」などと説得され、その後もメール交換を継続させられたケースが目立つ。国民生活センターの調べでは、運営業者は「有料のメール交換というサービスを提供しただけでメールの中身は知らない。ホームページにも料金表は掲載しており、お金がかかることは消費者も知っているはず。ネット上ではだましたりだまされたりすることはよくある」などと主張し、サクラの存在を否定。返金を申し出ても拒否するケースが多い。

 神戸市生活情報センターは「出会い系サイトには顔の見えないネット情報社会を悪用したサイトが必ず存在する」と指摘。「知らない問いかけにはアクセスせずに無視し、書き込まない、絶対会わない、信用できないサイトには個人情報を入力しないでほしい」と呼びかけている。

●SNS(会員制交流サイト) 〜友人装いFXソフト勧誘〜

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)と呼ばれる会員制交流サイトで若者に近づき、居酒屋や講習会に誘い出して儲け話やマルチ商法を勧誘する悪質商法が横行している。東京都は11月29日、SNS大手「ミクシィ(mixi)」の会員になっている若者に近づき、高額な競馬予想ソフトやFXソフトを売り付けていた訪問販売業者4社と販売業務を支援していた商品卸業者1社に対し、3カ月の業務停止命令を出した。被害者はいずれも20歳代の若者で平均契約金額は73万〜99万円に上った。

 SNSは趣味や年齢、顔画像などのプロフィールを公開し新たな人間関係を作ることを目的とする会員制交流サイト。すでに登録している人に招待されると登録できる「招待制」のサイトが多く、掲示板サイトなどよりも信頼性が高いとされてきた。

 しかし最近は会員数の拡大を目指しメールアドレスだけで登録できるSNSも増加。またサイト内での営利活動や勧誘は利用規約により禁止されているにもかかわらず、こうしたルールを守らない利用者も増える傾向にあり、悪質業者の暗躍につながっているとの指摘もある。悪質業者は公開されたプロフィールなどを参考にして若者に近づき、執拗な勧誘を仕掛けるケースが報告されている。

 東京都が処分した訪販四社はミクシィで「地方から上京して友達がいない」「飲みにいける友達を探している」「同じ歌手のファンだ」などと若者にメッセージを送付。やり取りを続けて親しくなり、「ご飯でも一緒に行こう」と居酒屋に誘い出し、「絶対に儲かる」などと説明して高額な競馬予想ソフトやFX自動取引ソフトを売り付けていた。都には4社の苦情がこの2年間で65件寄せられていた。

 SNSを巡っては08年7月、起業家志望の大学生などを狙ったマルチ商法が横行しているとして東京都が緊急消費者被害情報を発表した。SNSに起業家志望のプロフィール登録をした大学生などを狙ったもので、「君に最適な環境を紹介する」とのメッセージを送付してカフェに誘い出し、「一流企業に勤める人とふれあい、自分を成長させる経験を積むことができる」「それにはオーダースーツが必要」などと説明して高額なスーツを契約させる手口。大学生はキャリアアップなどを口実に友人に商品の販売を勧誘する羽目になるという。

 その他、出会い系サイトに誘導されたり、完全無料とうたったSNSで高額料金を請求されたりするトラブルが発生。都などは「期待とは違う結果になる事例が頻発している」として注意を呼びかけている。

子供のネットトラブル 9カ月で相談383件 架空請求、最多33%
2010.09.24 東京朝刊 

 都が平成21年7月に設置した子供向けのインターネットトラブル相談窓口に寄せられた相談件数が、22年3月末までに383件に上っていたことが、都のまとめで明らかになった。中には、中学校2年の女子生徒が架空請求で27万円もだまし取られる被害を訴えたケースもあった。都は「相談できる子供は一部で、もっと多くの子供が1人で悩んでいるのでは」としている。

                   ◇

 相談窓口「東京こどもネット・ケータイヘルプデスク」は、インターネットによる犯罪や中傷から子供たちを守るために、都が全国に先駆けて設置。月〜金曜日の午前9時から午後6時まで、土曜日は午後5時まで電話で相談を受け付けている。

 まとめによると、相談者の学年別では、中学3年生が最も多く66件。以下、中学校2年生の64件、高校2年生の51件、高校1年生の40件だった。

 相談内容では架空請求が33%と最多。携帯電話で多数のサイトにアクセスしていた中学校2年の女子生徒が架空請求のメールを受け、27万円を指定された口座に振り込んだ上、請求が続いたために親のクレジットカードの番号を教えてしまったケースもあった。

 また、インターネットを通じた交際に関する相談も18件あり、うち14件で実際に会っていた。交際のきっかけになったのは自己紹介サイトの「プロフ」が33%で最多。実際には会っていないものの、21歳の男性とみだらなメールのやりとりをし、本名と住所を教えてしまった小学6年の女子児童の保護者からの相談もあった。

 ネットトラブルの相談者は本人が57・2%と保護者の37・9%を上回り、保護者に相談できず1人で悩んでいる子供の姿が浮き彫りになった。

 都によると子供がトラブルに巻き込まれるきっかけとなるのは、アダルトサイトや出会い系サイトの閲覧が多く、フィルタリングにより防げていたトラブルも多いという。

 携帯電話には有害サイトにアクセスできないようにするフィルタリング機能があるが、都の調査では、保護者の31・7%が子供の携帯電話にフィルタリングをしていなかった。都は「子供が嫌がるため、保護者がフィルタリングを外してしまうケースがほとんどで、ネットの危険性への理解が不十分なことが多い」としている。

インターネットトラブルとマルチ商法に気をつけて!/若者向けに教育用DVD/全相協が作成
2010.02.06 日刊紙 

 インターネットの普及に伴い若者がトラブルに遭うケースが増えています。全国消費生活相談員協会は、若者を対象にした消費者教育用アニメーションDVD「若者の契約トラブル しまった! こまった! だまされた!?」(写真)を作成、普及しています。

 内容は消費生活相談に寄せられたトラブル事例をもとにした2本のアニメ。テーマはインターネットトラブル(12分)とマルチ商法(13分)で、その手口や対処法などを紹介しています。

 インターネットショップで、すてきなバッグを見つけた女性は、説明文をよく読まずに「6700円くらいならなんとかなる」と購入。受け取ってみると、送料や手数料が必要なうえに、思っていた色と違いました。しかも「返品はできません」。

 マルチ商法では、友人に勧誘され落とし穴に落ち込むまでの過程がリアルに紹介されています。

 市民講師や教員が講座や授業をすすめる参考資料として、「解説」「授業・講座の進め方案」「ワークシート」をPDFデータで収録しています。

 同協会は、高校生や大学生、新入社員教育などさまざまな場での活用を呼び掛けています。
インターネットトラブル 悪質な「架空請求」など、小中高生の被害増=YJP
2006.03.09 東京夕刊 

 ◇KODOMO伝える

 ◆悪質な「架空請求」「スパイウエア」 小中、高校生の被害増 不審メールは開かない

 インターネットで、うっかり怪(あや)しいメールやウェブサイトをクリックしただけでお金を請求されたり、個人情報を悪用されたりするトラブルが、小中、高校生の間で増えています。友だちからのメールを装うなど、手口が悪質、巧妙(こうみょう)になっている中で、ワナにはまらないようにするにはどうしたらよいか、取材しました。(中2・佐藤健哉、高1・浮津亜由美、高2・井川優衣子記者)

 東京都内に住む高校1年A子さんは、人気タレントのファンサイトにある掲示板で知り合った友だちとメール交換をしようと、パソコンのアドレスを掲示板に載せました。すると広告メールや、ウイルスに感染したメールがたくさん届くようになり、アドレスを変えました。「新しいアドレスは、@を☆に変えるなどして、第三者に悪用されにくくしたので、迷惑メールは減りました。よく分からないメールは見ないようにしています」とA子さん。

 ◆3年前の19倍!

 パソコンや携帯電話に送られて来る迷惑メールなどのトラブルについて知るため、東京都消費生活総合センターを訪ねました。都内53か所の消費生活センターに寄せられたインターネットのトラブルのうち、小中、高校生が当事者の相談は、2004年度約3000件で、3年前の19倍にも増えています。

 同センター相談課の國安(くにやす)透さんによると、そのほとんどは、身に覚えのないお金を請求される「架空(かくう)請求」のトラブル。「おもしろいサイト、見つけたよ」「おつかれさま」などと、一見、友だちからのようなメールをクリックすると、ポルノサイトや出会い系サイトにつながり、入会金を請求されるといったケースが目立っています。

 たとえば、「うっかりアダルトサイトの画像をクリックしたら、登録されてしまい、1万8千円を支払ったが、その後、別のサイトからも請求があった」という男性(18)の相談には、「メールアドレスを変えたり、携帯電話の着信拒否機能を使ったりするように」と助言しました。

 「不審なメールは開かない。開いてしまっても無視する。解約や抗議しようとしてアドレスや電話番号を知らせると、しつこく請求されたり、ほかの業者から迷惑メールが届いたりする危険がある」と國安さんは注意しています。

 ウイルス対策会社のトレンドマイクロ(本社・東京)で、ネット上の安全教育を行っている瀬川正博さんに話を聞きました。個人情報を盗む最近の手口の一つとして、パソコンに侵入し、知らないうちにパスワードやクレジットカード番号を盗む「スパイウエア」のトラブルが増えていると言い、銀行の預金口座から多額のお金を引き出すなどの犯罪も起きています。

 「スパイウエアは、ホームページを見ていて、思わず『はい』をクリックした時に仕掛けられたり、無料のダウンロードソフトに組み込まれていたりする場合が多い。怪しいホームページは見ない、信頼できないソフトやファイルはダウンロードしないことが大切」とアドバイスをもらいました。

 ◆モラル教育も広がる

 インターネットトラブルの被害者、加害者にならないための教育も広がっています。その一つ、東京都教育委員会の情報モラル教育実践モデル校になっている文京区立駕籠(かご)町小学校で、子どもたちはこの1年間、「個人情報」「迷惑メール」などの意味や、チャットする際の個人情報を守る方法やマナー、著作権などについて、すべての教育活動で学びました。

 学習の成果について、6年生からは「今まで家のパソコンで、いろいろなサイトを次々とクリックしていたけれど、怪しくないか、有料ではないか、よく見て考えてから開くようになった」「チャットする時、自分の住所や名前、他人の悪口を書き込まないように気をつけている」などの声が聞かれました。

インターネットトラブルを防止 富山県教委、小中高にパンフレット配布
2005.01.21 朝刊 

 県教委はインターネットや電子メールなどのトラブルから児童、生徒を守るため、県内の小中高校、特殊学校と中学三年生以上の生徒全員、保護者に初めてトラブル防止のパンフレットを配布し、注意を呼びかけた。

 各校では技術家庭科や情報科の授業、ホームルームなどで活用する。

 生徒向けのパンフレット(A4判、四ページ)には▽偶然、「あぶなそう」「こわそう」なサイトに入ってしまった▽ネット上で友達と言い争いになった▽掲示板にメールアドレスを書いたらデートの誘いが次々にきた−など七つのケースについての対処方法を記載してある。

 保護者用(A4判、二ページ)にはメールなどによる架空請求、インターネット・カフェの悪用、インターネット・オークション利用時の注意などについて書かれている。

 連絡、相談先として、ネット犯罪は県警本部、ネット上のトラブルは県教委学校教育課、ネットショッピング関連トラブルは県消費生活センターの電話番号を記載してある。

「ヤミ金・架空請求」で4249件の相談 「内容の複雑化」懸念=富山
2004.06.23 東京朝刊 

◆県民相談ネット担当者連絡会

県民からの相談を受ける各機関・団体で構成する「県民相談ネットワーク」の担当者連絡会議が二十二日、県庁で開かれ、社会問題化している「架空請求」や「おれおれ詐欺」「ヤミ金」などの相談内容や実態などが報告された。

同会議は、県警生活安全企画課を事務局に二年前に結成された。相談業務を担当する行政機関や団体が緊密な連携を図り、円滑に相談に対応することを目的に、県警や県、県医師会など二十八の関係機関・団体の担当者が出席した。

まず、県警が警察安全相談の取り扱い状況を報告。相談件数は四月末現在で、昨年同期よりも百七十件多い五千三件に上っており、浜松博和・生活安全企画課長は「相談内容は複雑化している。『おれおれ詐欺』など、組織的犯罪に関する相談が増え、一機関だけでは対応しきれない」などと現状を訴えた。

県警によると、相談で最も多いのは「ヤミ金・架空請求関係の悪質商法」で、昨年一年間で前年の約六倍となる四千二百四十九件に上った。次いで「迷惑電話、痴漢・変質者の出没など」(千七百八十六件)、「インターネットトラブル、不正アクセス」(七百二十九件)などの相談が増加傾向を示しているという。

会議では、各機関・団体から「ヤミ金についての相談は減る傾向にあるが、業者への指導を求める声は減っていない」「県内に住む外国人からの家庭内暴力(DV)などの相談が増えている」といった声が上がった。

相談1858件過去最高/宮崎市消費生活相談室/金銭トラブル最多/目立つメール不当請求
2003.06.18 宮崎日日新聞朝刊 

 宮崎市の消費生活相談室が昨年度受けた相談件数は千八百五十八件で一九七九年度以来、過去最高に達した。長引く不況による多重債務者からの相談やインターネットトラブルの増加が背景にあるようだ。

 市生活課によると、相談件数は過去最高だった昨年度の千五百四十六件から三百十二件、対前年度比で20・1%増加。相談件数が急増する以前の九六年度の三百二十件から比べると、六年間で約六倍に達した。

 相談内容の内訳は多重債務者の金銭消費貸借契約に絡むトラブルなどの「金融・保険サービス」が四百三十三件で最も多く、前年度比で四十二件増加している。

 続いて携帯電話やパソコンのインターネット利用に関する不当請求などの「運輸・通信サービス」が二百五十六件。インターネットの普及とともに伸び、前年度から百四件増え、一・六倍になった。

 インターネットの苦情で特徴的なのはアダルトサイトやメール利用に絡む不当請求で、若い男性を中心に身に覚えのない請求書などが送り付けられるケースが多い。金額は二万円前後の料金を設定しており、「送り付けられた本人も恥ずかしいという思いがあり、相談せずに支払ってしまう人も多い」と同課は話している。高齢者を狙った健康器具や食品を売り付けるケースも目立った。

 市は悪質商法などの被害を未然に防ぐため、本年度から若者を対象にしたミニ講話を開催。四、五月の大学生の新入生オリエンテーションに出向き、悪質商法の手口について説明するなど、啓発に努めている。来春には高校卒業生を対象に実施する。

[特集]インターネットトラブル回避法−−超初心者のための危機管理
2002.09.21 週刊東洋経済

[特集]インターネットトラブル回避法

超初心者のための危機管理

インターネットは本来情報公開のための善意のツール。あなたのメール、のぞかれていませんか?

 まずは右の用語テストにトライしていただきたい。八〇点取れればまずは合格。仕事や家庭でインターネットを活用していても、意外と知らない用語もあるのでは?

 インターネットを悪用した犯罪は、年を追うごとに急増している。IPA/ISEC(情報処理振興事業協会セキュリティセンター)によると、コンピュータウイルス被害の届け出は1998年の二〇三五件から2001年には二万四二六一件と、飛躍的に増加しており、02年は6月までの前半だけで一万一五六九件を数えた。一見前年の半分以下だが、1〜6月には新種のウイルスの大流行がなかったことと、後半に入った早々の7〜8月にはFrethemやklezとその亜種が流行し、また例年クリスマスシーズンにウイルスが増加するというこれまでの傾向を考えると、予断を許さない。

 警視庁ハイテク犯罪センターの調査によれば、ハイテク犯罪検挙件数は99年の二五一件から、01年には八一〇件と急増した。そのほとんどが、ネットワークを悪用した犯罪で、児童ポルノやわいせつ物の頒布、次いでネット詐欺、名誉毀損や脅迫、著作権法違反などがそれに続く。ただ、個人の事件では泣き寝入りするケースも多く、実際の発生件数ははるかに多いと考えられる。

 家庭でのパソコン普及率は日本でもついに02年3月末で五七・二%となった(内閣府経済社会総合研究所調査)。インターネット利用者数は企業での利用も含め、97年末八八〇万人だったのが、01年末には三六〇〇万人、02年末には四二〇〇万人となるもようだ。ネットに関連するトラブルはますます増えてくると見られている。

 システムで防御するウイルス、のぞき見

 もっとも知られているトラブルは、やはりウイルスメールだろう。ウイルスについての知識はかなり広まってきているが、正確な理解となるとまだまだ心もとない。8月に大流行したklezは、プレビューだけで感染し、感染したパソコンから読み取ったメールアドレスを送信者としてウイルスメールをバラまくため、誰が本当の感染者かわからない。たまたま感染したパソコンのアドレス帳に記載があったために、ウイルスメールの送信者にされてしまったが、自身はまったく感染していないパソコン(所有者)に対して、「変なメール送るんじゃねぇよ」などの罵倒メールが送られるなど、二次被害も出ている始末だ。

 対策は、プレビューをしないこと。アウトルックエクスプレスならメール画面上の「表示」→「レイアウト」→「プレビューウィンドウを開く」の項目のチェックを外しておけばよい。不審な添付ファイルは絶対に開かない。知り合いなら確認を、知らない人物なら黙って削除を。

 「のぞき見」されると、メールをはじめとするデータの内容を盗み見だけでなく、改ざんされることもある。パスワードやクレジットカード番号の盗難もありうる。ことにケーブルテレビ、ISDNやADSLなどの常時接続の場合、きちんとセキュリティ保護をしていないと、こういったトラブルに遭う危険性が非常に高い。自分が被害に遭うだけでなく、自分のパソコンを経由して、他のパソコンへの不正アクセスに利用される、いわゆる「踏み台」にされる。セキュリティを不備のままに放置しておくことが、犯罪に加担することにつながってしまう。アメリカではこういう踏み台にされた人にも「セキュリティ不備」の責任を問おうという動きも出始めている。

 最近流行のインターネット・マンションにも危険が潜む。管理がしっかりしていなければ、隣人のメールを勝手に見ることができるし、マンションLAN管理者に通信の内容を見られる危険もある。のぞき見自体、プライバシーの侵害だが、のぞき見られた内容を、本人が知らないところで悪意を持って公開されるケースもある。「私信など見られても大したことはない」と考える男性諸氏は多いことだろう。だが、男性にとっては比較的たわいないことのようでも、子どもや女性にとっては深刻な被害をもたらすこともある。知らないうちに出会い系サイトの掲示板などに住所、電話番号を公開され、電話が殺到した例も多数あるのだ(ただし、企業のネットワーク管理者には、「業務のために支給しているパソコンが不正に使用されていないかをチェックする」権限があり、私用メールをチェックされても文句は言えない)。

 ここまでの問題は、IPAセキュリティセンターウイルス・不正アクセス対策グループ主任研究員・小門寿明氏のアドバイスに従えば、ほぼ防衛できる。

 一、ウィンドウズアップデートを利用して、メールソフト、Webブラウザともに、つねに最新のバージョンにしておく。公開されているパッチ(ツギ当て=修正プログラム)を当てるだけでもよいが、最新機能へのバージョンアップが望ましい。また、ブラウザの「ツール」→「インターネットオプション」で、セキュリティ機能を高めておくのも有効だ。

 二、パソコン起動時、メール接続、Webメールなど、あらゆるパスワードは最低でも三カ月に一度は更新する。その際、誕生日など他人が想定しやすいパスワードは避ける。

 三、必ずワクチンソフトを入れること。プレインストールされているものを起動し頻繁にアップデートする。必ず常時監視に設定を。ただ、プレインストールものではウイルス駆除まではできないものもあるので、できれば市販のセットを購入するほうがよい。最近はワクチンソフトにファイアウォール機能も組み合わせた商品も出ており、ウイルス以外のセキュリティも強化できる。

 ウイルスチェックサービスするプロバイダと契約するのも一つの方法だ。また、ルーターを使うことで、直接パソコンに入り込めないように防御する方法もある。

 だが、これだけでは十分でない。

 危機管理「意識」が重要 ネット詐欺、ダウンロード

 大きなネットオークションサイトなら、代金を振り込んだのに商品が送られてこない、商品を送ったのに代金が振り込まれない、などの被害に遭ったときには、それなりの対応をしてくれるはず。だが、出品者から直接「あなたは良い人のようだから個人的に取引したい」などと言ってきたら要注意だ。

 同様にネットショッピングを楽しむ場合でも「アマゾン」「楽天市場」のような大きくて信頼性のあるサイトや、信用のある企業サイト以外では、十分注意しなければならない。

 弁護士の紀藤正樹氏は「購入代金を振り込んだ直後に当該企業の日本撤退が発表され、商品は届かないうえ、振込代金の回収に数カ月を要した」と苦笑いする。企業自身の安全性にも十分注意を払う必要がある。

 また、オーダーを出すときに住所、氏名はもちろん、クレジットカードナンバーを安易に記入して送信するのは危険だ。それだけの情報があれば、のぞき見しただけの人間でも、ネットショッピングができる。

 信頼できる暗号機能を使っていないサイトで買い物はしない、どうしても買いたいときはオーダーシートをFAXで送信し、着払いやコンビニ振り込みを使う。取引相手の見えない買い物は、失っても惜しくない程度の金額に止めておくべきだろう。

 一方、ダウンロードによる被害も多い。アダルトサイトや一般のサイトでも「スピードアップツール」などとうたってボタンをクリックするとメールに広告サイトが自動的に添付されたり、国際電話経由でインターネットにつながる設定に勝手に変更され、莫大な通信費を請求されることもある。

 おかしいと思ったら、メールの接続をチェックすること。デスクトップの「マイコンピュータ」→「ダイヤルアップネットワーク」の中に、不審な接続先があれば削除する。だが、それだけでは、簡単には解除できない悪質なソフトもあるため、どうしても削除できなければ、リカバリ(再セットアップ=初期化)しなければならないこともある。

 また、「三〇分無料接続」とあっても、「三〇分以上たって解約の連絡がないから自動的に正式契約」となり、毎月会費を引き落とされてしまうこともある。無料と言いながら、住所、氏名、クレジットカードナンバーなどをたずねてくるサイトは用心するほうがいいだろう。どうしてもプログラム除去も解約もできない場合は、web110(一〇八ページ一覧表参照)など有料で解約交渉してくれるところもある。

 「無料ソフトのダウンロードは、マイクロソフト本体や『窓の杜』『ベクター』など、信頼できるサイトからに限るべき」と小門氏はいう。

 クッキー(cookie)を使って収集した個人情報が悪用されることもある。クッキーはWebサーバーのユーザー管理システムで、どんなユーザーがWebの中のどのページを閲覧したか、という記録を取り、次回訪問したときに訪問者の嗜好に合わせたサービスができる便利なもの。買い物サイトで「買い物かごに入れておく」などのサービスは、この機能を利用している。

 だが、むやみにクッキーを有効にしておくと、買い物の際に記入したメールアドレスをはじめとする個人情報が流出する心配もある。ファイアウォールソフトを起動しておくと、クッキーを有効にするか、との問い合わせ表示がよく出てくる。サイトの信頼度によって上手に使い分け、あまりクッキーの有効性をしつこく求めてくるようなサイトは避けるほうがよいだろう。

 「なりすまし」は、特別なパソコンやインターネットの知識がなくてもできてしまうのが恐ろしい点だ。メールヘッダーの書き換えや他人の署名を悪用する程度のことでも、十分「なりすまし」として成立してしまう。本人以外の人間が、本人の了解なくニセの情報を流し、取引解消や、就職内定辞退などという被害も出ている。だがこれを阻止する方法は残念ながらない。重要な内容ならば、メールや電話など複数の方法で内容を確認するくらいの慎重さが必要だ。

 こういったトラブルが多発する原因として「インターネットの匿名性」に問題がある、との紀藤弁護士の指摘は興味深い。匿名であるがゆえのバーチャルな面白さはインターネットの魅力の一つではあるが、やはり、何か起こったときにはきちんと情報を開示し、責任の所在を明らかにするシステムを作ることが重要だ。

 インターネットの世界には、独特のエチケット、マナーがある。ネット上のエチケットでネチケットと言われているものだが、パソコンの急速な普及につれてネチケットの存在を知らない利用者も急増している。これが既存の利用者の目には「無法者」と映り、「いたずら」の対象とされてしまうこともある。長々と引用をしない、リッチテキストは使わない、同報メールはよほどよく知った仲間でない限りBCCが原則……といった、基本的なルールをぜひ覚えておきたい。

 ネチケットについては(財)インターネット協会のホームページ(左の一覧表に記載)に「インターネットを利用するためのルール&マナー」としてまとめられている。

 会社と違い、自宅でのネット利用は完全な自己責任。インターネットという、バーチャル世界に潜む危険について十分理解して利用したい。

<カコミ>INTERVIEW

サイバースペースの危険を認識し利用を

弁護士 紀藤正樹

 インターネットでも常識を持って対応すればよい。とはいえ、一般社会とは少し違った注意も必要だ。

 リスクの根源にあるのは、「匿名性」の問題だ。プロバイダ責任法程度では不足。発信者情報を開示すること以外、ネットトラブルを防ぐ方法はない。もちろん常時本名を公開する、という意味ではなく、何か問題があったときに個人を特定できるような仕組みを作る、ということだ。

 インターネットには、どんな人がいるのかわからない。現実世界なら、目で見、雰囲気を感じて判断できるが、そういう付帯的な情報がいっさいない。そうはいっても、現代ではインターネットを利用せずに済ませることはできない。海外旅行と同様、どんな危険があるのかきちんと認識することが大切だ。

 以下はインターネットを利用する際の心構えだ。

1、インターネットの危険性を知る

2、自分の身は自分で守る

3、表現することの責任を自覚する

4、自分がされたら嫌なことを他人にもしない

5、世界基準で考える(日本の常識は世界の常識ではない)

6、他人のことを表現するときには気をつける

7、戦う姿勢を忘れない(正しいと信じることは積極的に表現を)

〈参考〉紀藤弁護士のHP

http://homepage1.nifty.com/kito/

インターネット消費者被害対策弁護団

http://www1.neweb.ne.jp/wb/licp/

紀藤正樹

ネット消費者問題に詳しい。著書に『失敗しないネットショッピング』など多数。

<カコミ>INTERVIEW

ネットに潜む落とし穴 急増する迷惑行為

フリーライター 池田冬彦

 インターネット史上例を見ない、大規模なシステム障害がアメリカで発生したのは2000年2月。Yahoo!やCNN、オンラインショッピング大手のAmazon.com、eBayなどの主要なサイトが相次いで障害を起こし、Webサービスが継続できない状態に陥ったのだ。大量のデータが洪水のように一気に特定サイトに集中し、ネットワーク機器やサーバーの処理能力を超えてしまったことが原因だった。大量のゴミを企業の入り口に積み上げて、出入りできなくしてしまうような、悪質な嫌がらせ行為だ。

 綿密な捜査の末、FBIは、地元警察や通信事業者の協力を得て犯人を割り出した。サイバーテロにも通じる重大な犯罪を犯した凶悪犯人は、カナダに住む“マフィアボーイ”と名乗る、一五歳の高校生だった。特別な技術やスキルを持ったハッカー(クラッカー)ではなく、地下サイトで出回っている「攻撃用ソフト」を使っただけだった。悪意と攻撃ソフトさえあれば、誰にでもサイバーテロが起こせることを世界中に知らしめた事件といえる。

 このような者をアメリカではスクリプトキディ(落書き小僧)と呼ぶ。スクリプトキディとは、もともとアングラツールを使ってWebサイトに侵入して落書きをする類の輩を指す言葉だが、落書きにとどまらず、あらゆる攻撃・調査ツールを使って夜な夜な“暇つぶし”をしているといわれる。その数はブロードバンドの普及と共に急増している。

 しかも、現状のコンピュータのOS(基本ソフト)には、このような攻撃を検知・阻止する機能がない。つまり、ハードディスクの内容を盗み見されていても、本人は気が付かない。たとえコンピュータが通信不能になっても、その原因を突き止めることができない。なおかつ、セキュリティ対策を施していないコンピュータは、不正アクセス禁止法の適用対象にならないのだ。

 インターネットの脅威はスクリプトキディに限ったことではない。「トロイの木馬」というスパイプログラムでメールがひそかに読まれる、ネットストーカー犯罪や、社内ネットワークでのメールの盗聴やパスワードの流出、ショッピングサイトや懸賞サイトなどのWebサービスからの個人情報の流出、Webメールサービスのアカウント盗難、アダルトサイトや出会い系サイトからのクレジットカード番号の流出、オークション詐欺……など、ありとあらゆる危険が待ち構えている。

 詐欺、盗聴個人情報の盗難……

 IDやパスワードの盗難も目立つ。すぐに連想できるような安直なパスワードを設定していたために簡単に盗用されてしまったケースや、Webサービスで「パスワードを忘れた場合に救済を行うためのリマインダ機能」を悪用して、勝手にアクセスされたケースがあった。また、会社や学校で、パスワード入力作業を背後から見られてしまう、「ショルダーハッキング」なども典型的な手口だ。

 人為的なミスで個人情報が公になってしまうこともある。最近の事例では02年8月にカバヤ食品のプレゼントに応募したユーザーの氏名、住所、職業などの個人データ三二四四人分がWebシステムの不備のせいで、インターネットを通じてアクセスできる状態になっていたのだ。また、個人情報を預かる企業の社員の中にも、カネにつられて個人情報を一部の興信所や他企業に売り飛ばす輩もいるから油断できない。

 アダルトサイトや出会い系サイトでのトラブルも多い。相変わらず多いのが「無料お試し会員」とうたっておきながらクレジットカード番号を入力させ、簡単に解約できないようにしているケースだ。また、クレジットカードを抜き取る目的で設置されたトラップサイトもある。

 道を歩いていていきなり知らない人物が笑顔で近づいてきたら、少なからず警戒するはずだ。また、怪しげな地域に足を踏み入れたら緊張するものだろう。しかし、インターネット犯罪やトラブルは“顔の見えない”犯人によって知らないうちに遂行される。また、危ないサイトというものも一見して判別できない。このことが、われわれが普段身に着けている防衛意識をマヒさせるのだ。インターネットは確かに便利なツールだが、それを快適に使いこなすには最低限の自衛が必要だ。

 たとえば、いたずらストーカーの侵入を阻止するためには、パーソナルセキュリティソフトやブロードバンドルーターを導入することで「家に鍵をかける」のと同じセキュリティを維持できる(またアクセス記録を残すログ機能によって、侵入や攻撃の事実を知ることができる)。また、パスワードを推測されないものに変更する、Webサービスで個人情報を送信する際は細心の注意を払う(あるいは、送信は必然性のあるものだけに限る)、怪しげなサイト、懸賞サイトなどで個人情報を絶対に送信しない、掲示板でトラブルになるような書き込みはしない−−など、さまざまな局面で自分の持つ危機管理意識を発揮する必要がある。

池田冬彦

システムエンジニアを経て独立、IT関連技術、インターネット関連の著書多数。ホームページで「ネットトラブル撃退法」を運営。

http://www.net‐aerovision.com/

 ネットトラブル急増で法整備 競売業者、届け出制に
2002.03.03 朝刊

 インターネットのショッピングやオークションに絡むトラブルが増えている。商品が届かなかったり、解約したのに届いてしまったりなどさまざまだ。こうした事態を受け、消費者保護や健全な取引のための法的整備も進みつつある。安心して利用するにはどんな点に注意すればいいのだろうか。

 【苦情件数】国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられたインターネットに関する苦情件数は一九九五年度に六十三件だったが、その後急増し、二〇〇〇年度は一万件を突破。〇一年度は問い合わせなども含めれば、すでに一万八千件を超えている。

 このうち、インターネット上の消費者取引に関する苦情は九七年度以降、毎年倍増のペースで増え続けており、〇〇年度(二月末まで)は二千百九十三件に上った=別表(略)。

 苦情の内容は「解約したのに商品が届いた」「注文したのに届かない」「ホームページを見ただけで代金の請求が来た」「代金を振り込んだ後、解約したが返金されない」などが多い。代金をだまし取られたり、画面の写真と実物が違うなどのトラブルもある。

 【法的整備】こうしたトラブルの増加を受け、法の整備が始まった。昨年六月に施行された特定商取引法では、インターネット通販事業者に対し、申し込みの画面を分かりやすくするよう義務付けた。さらに、昨年十二月施行の電子消費者契約法では、事業者が申し込みの確認画面を設定していない場合、操作ミスによる契約は無効にできるようにした。

 また、経済産業省は三月末までに、「電子商取引等に関する準則」を策定する予定だ。これは、インターネット取引を既存の法律でどう解釈すればいいかを示す基準。消費者保護では、例えば、サイバーショップ(インターネット上の店)との取引で損害を受けた場合、その店を出店させているサイバーモール(ネット上の商店街)の運営者が責任を負う場合もある、などの具体的な内容を盛り込む方針という。

 警察庁も、ネットを悪用した盗品売買を防止するため、古物営業法を改正し、オークション業者を届け出制にするなどの規制を来春から実施する意向だ。

 【注意点】消費者自身が気を付けることはないのだろうか。

 国民生活センターは▽取引に重要な画面は記録として保存する▽オークションの場合、銀行や信販会社などが運営する決済代行会社を活用する▽信頼できる業者かどうかを識別する目安として、業界団体が一定の基準をクリアした業者に認めている「トラストマーク」を参考にする−ことなどを挙げている。

 マークは各国にあり、日本では日本通信販売協会と日本商工会議所が、返品特約制度の有無や消費者相談窓口の設置などを基準にした「オンラインマーク」を事業者に付与している。

 同センターの田沢とみ恵さんは「これからルールを考えないといけない部分が多いので、慣れるまで小さな金額で楽しむのがいいのでは」と話している。

 産業界でつくる電子商取引推進協議会も十日まで、試験的に「ネットショッピング紛争相談室」を開き、電子メールを介してトラブルを解決している。同協議会は、米国や韓国の紛争解決組織とも連携、国際間のトラブルにも積極的に取り組んでいるのが特徴だ。

     ◇

 消費者の心得

 (1)取引画面を保存する

 (2)決済代行会社を利用

 (3)信頼できる業者選ぶ

 (4)慣れるまでは少額で

インターネットトラブル急増 3年で5倍に 自己防衛の意識必要=山梨
2000.08.26 東京朝刊 

 インターネットの利用が急増する中、県消費生活センターに寄せられるインターネットに関するトラブルの相談も増えている。昨年度に寄せられた相談は計五十件と全体の約1%だったが、ここ三年間で約五倍に急増した。今年度は六月までに八件の相談が寄せられており、特にネット上での取引に関する相談が目立つという。同センターでは「ネット上で安易に契約しないなど消費者側にも自己防衛の意識が必要」と注意を呼びかけている。

 同センターによると、甲府市の男性会社員(23)からは「格闘技のチケットをホームページで申し込み、チケット代を前払いしたのに送られてこない」という相談があった。また、「資格取得のための教材で、資料を請求しただけなのに教材が送られてきた」「売買のホームページで個人から車を購入したが、故障して乗ることができない。解約したいが応じてもらえない」といった相談もあったという。

 こうしたトラブルに対し同センターでは〈1〉前払いをしない〈2〉解約条件を確認する〈3〉申し込み画面を印刷しておく−−などの注意を呼びかけている。

 また、六月に寄せられた二件はいずれも「身に覚えのない電話料金が請求された」というもの。甲府市内の男性会社員(30)の場合、あるホームページを見ていたら「スポンサー付きプレゼント」というホームページにつながり、それ以降、身に覚えのないダイヤルQ2の利用料金が請求されるようになったという。最近は「さらに情報を見たい場合はこちらをクリックして下さい」などの指示が出され、ソフトが勝手にダウンロードされて、ダイヤルQ2や国際電話に接続するようにパソコンの設定が書き換えられてしまう例も増えているという。同センターでは「むやみにソフトをダウンロードしないことや、パソコンから国際電話やダイヤルQ2に接続できないようにする監視ソフトを利用するなど、自己防衛する必要がある」と訴えている。

ネット犯罪ご注意 売買トラブル急増、「危険を自覚して」【大阪】
2000.08.07 大阪夕刊

 ねずみ講に詐欺……。世間では目新しくない消費者被害やトラブルが、インターネットの世界で急速に広がっている。ボタン一つで匿名のメッセージを送り出せるので、怪しげな情報が混在し、どこかに潜む悪意の相手につけ込まれる危険がある。自然発生的なネットワークだから、各人の責任範囲もはっきりしない。トラブルの要因は、電脳社会の便利さと裏表の関係で存在しているが、インターネット利用の爆発的な普及で、「危うさ」を自覚しない人が増えつつある。

 ○5人分の名前

 横浜市の会社員町側烈士(まちがわいさお)さん(三三)は先日、自分のホームページ「フレンチブルーパーク」の公開掲示板に「ねずみ講」に誘う書き込みを見つけた。書き出しは「絶対確実! 少資本で莫大(ばくだい)な利益始めませんか!!」。五人分の名前と銀行の口座番号を挙げ、各人に千円ずつ振り込んだら、最初の人を削って自分の名前と振込先を最後に加え、その新しいリストをばらまけ、とあった。

 町側さんは掲示板管理者として、この書き込みを削除した。対応が早かったので実害はなかったと思うが、おかしな書き込みは最近多い。掲示板には一日に千五百件以上のアクセスがあり、「個人では管理責任を負いきれない」と言う。

 大阪弁護士会消費者保護委員会がこのほど実施した「インターネットトラブル一一〇番」では、インターネットを通じて売りに出たデジタルカメラを四万円で「入札」し、代金を払ったのに届かないという被害相談があった。埼玉県のこの「売り主」は、数十人が被害にあっている札付きの業者だという。

 愉快犯とみられる変な事例もあった。売買情報交換のサイトを通じてタレントシールを売る約束ができ、相手が代金二百円を振り込んできた。ところが、商品の送り先を電子メールで何度問い合わせても、相手は「早く送れ」と繰り返すだけ。このままでは、こちらが詐欺行為を疑われると困惑しての相談だった。


 ○泣き寝入りも

 同委員会の西野弘一弁護士は「自室から簡単につながる気軽さが迷惑行為、違法行為への敷居を低くしている」と指摘する。

 一方、国民生活センターが受けたインターネット関連の相談は、ここ数年に急増している。ねずみ講に関連した相談は百件以上に及ぶ。「金を支払ったのに商品が来ない」など売買に関するトラブルが約千七百件。詐欺やプライバシーの侵害をめぐる相談も多い。相談者は二、三十代が目立つという。

 この問題に詳しい紀藤正樹弁護士によると、インターネット上の消費者トラブルの被害金額は一件あたり多くて百万円程度。多額の被害とならないため、泣き寝入りのケースも多い。


 ●各人の判断で秩序を

 奥野卓司・関西学院大教授(情報人類学)の話 ゴールドラッシュの米国にあらゆる人が集まったように、電脳社会には新天地で一もうけを狙って善人も悪人も群がっている。だが、既存の法で悪を抑え込むだけでは、この情報媒体が発展する芽を摘んでしまう。クレジットカードの番号は簡単に教えないなど、各人が自立した判断で新たな秩序をつくるべきだろう。

ネット通販トラブル 相談電話を3か所開設 26日から3日間/日本消費者協会
2000.07.17 東京朝刊 

 インターネットを使った通信販売などに伴うトラブルが増えていることから、日本消費者協会(東京都中央区)は26日から三日間、東京、大阪、福岡の3か所で電話相談「インターネット関連サービス110番」を開設する。金融や各種の情報提供など、インターネットに関連するサービス全般を対象に情報を集め、必要に応じてトラブルの処理に乗り出す。

 国民生活センター(東京都港区)によると、都道府県や政令指定都市の消費生活センターに寄せられたインターネット通販に関する相談件数は昨年度、1049件に達し、98年度の544件からほぼ倍増した。銀行や証券会社など金融機関のインターネットサービスに関連する相談も、98年度は1件もなかったのに、昨年度は31件あった。

 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS、東京都目黒区)が、昨年11月に実施した「インターネットトラブルなんでも110番」にも、二日間で183件の相談電話があった。

 具体的な相談内容は、「アメリカの通販会社に3種類の自動車部品を注文し、送金したのに商品が届かないので連絡すると、1種類については返金されたが、残りは返金されない」(茨城県、男性)、「インターネットで自分のパソコンを売り、しっかりこん包して送ったが、数週間後に『故障していたので返品したい』と言ってきた。どうしたらいいのかわからない」(岡山県、男性)などだった。

 日本消費者協会は、「最近はネット上で入札するオークションに参加する人も増えているが、インターネット関連の取引やサービスは制度面などで未整備な点が多い。今回の電話相談を通じ、思わぬトラブルに遭遇した実態を把握し、今後の対処のしかたを考えていきたい」と話す。

インターネット「困ってます」*「110番」に全国から183件*不当に料金請求/個人情報漏れた/通販商品届かぬ
1999.12.25 北海道新聞朝刊全道 

 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会はこのほど二日間にわたり行った「インターネットトラブルなんでも110番」の結果をまとめた。通信販売の商品の未着や不当請求、個人情報の漏えいなどの相談が多く寄せられた。

 「110番」は東日本(東京)、中部(名古屋)、西日本(大阪)、北海道の同協会四支部で開催した。電話、ファクス、インターネットでの相談を受け付けた。

 相談件数は百八十三件(北海道二十六件)で、女性が半数以上を占めた。年齢は三十代が一番多く二三%、次いで五十代の二〇%、二、四十代がそれぞれ一九%。職業ではサラリーマンやOLが三九%、家事従事者が二九%を占めた。

 相談のうち苦情は七二%を占め、そのほかは問い合わせや要望。苦情の中で一番多かったのは、不当な請求をされたという二十九件。たとえば、ゲーム攻略法や芸能人情報のホームページを見ていたが、電話の有料情報サービス「ダイヤルQ2」のアダルト番組につながって多額な情報料と通話料を請求されたなど。ホームページの中には、うっかりクリックするだけで自動的に有料情報サービスにつながるようになっているものもあるという。

 次いで多かったのは個人情報漏えいなどプライバシー問題で、二十八件あった。たとえば、プロバイダーと契約し、利用しているうちに個人を識別するID、パスワードを盗用され、自分が使っていない国際電話料金を請求された。何度かIDとパスワードを変更したがそれでもまた、使われたというもの。また、知らないうちに自分の裸の映像が流れているという相談も。

 そのほか、通信販売の商品が届かない、ホームページにひぼう・中傷の文が流された、などもあった。

 同協会ではこの結果を受けて「個人情報保護や、電子商取引における消費者保護の法律整備が急務」としている。

 インターネットトラブル相談増加 慎重に 「もうかると加入勧誘」 「知らぬうち契約操作」 県消費生活センター
1999.02.18 朝刊

 【愛知県】県消費生活センターでインターネットに関する相談が増加している。一九九六年度は十一件にすぎなかったが、翌九七年度は六十三件に増加。本年度は昨年十二月までに六十六件があった。同センターに寄せられる年間一万数千件の中ではわずかの数だが、今後増加が見込まれることから同センターでは慎重な契約とインターネットの注意深い利用を呼び掛けている。

 一口にインターネット関連といっても内容はさまざま。(1)インターネットをセールストークにパソコンを売るという古典的な“手口”のもの(2)ネット通販をめぐるトラブル(3)クレジットカードの番号が盗用されたケース(4)外国語のホームページで意味が分からないまま操作し契約してしまった−の四つに大別される。

 (1)の例では「パソコンで入力し、インターネットで送る仕事を誘われた。パソコンとソフトの契約で月に一万五千円の支払いになるが検定に合格すれば月に七、八万円の収入になるといわれた」などインターネット会員を誘って加入させればもうかるというねずみ講的なものも。

 また「就職情報を提供するというので話を聴きに行ったら、十五万円のパソコンと四十八万円のインターネット利用券を購入させられた」という就職難につけ込んだ悪質なものもある。

 (2)では、ホームページの広告で血統書付きの猫を買った。猫は来たが血統書は来ない。売り主の所在は分からなくなったというものがあった。

 (3)(4)では突然クレジットカード会社から請求書が届く。「使っていない休眠カードが使われたことになっている」「外国の情報サービス会社と契約したことになっている」など。

 売り主がはっきりしていればクーリングオフなど対応はあるが、所在が分からない、あるいは外国では対応は難しい。「カード会社によっては請求先と交渉してくれるところもあるが、消費者側の管理責任が問われることも多い。ネット上にクレジットカードの番号を流さない、などの注意が肝要」と加藤公平同センター次長は話している。


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